2008年06月27日
たかが7人、されど7人。 さぶみ牧童探検隊

担当者: 高野
カテゴリー: 中国エリア島根県
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牛を育てることで、母性が湧き出るようです 島根県津和野町の左鐙という地区で6月21、22日の2日間お世話になりました。小雨がぱらつくあいにくの天候だったものの、小中学生、未就園児、地域のみなさん、ボランティア候補の女性たちが入り乱れてのバトルロワイヤル。
 目まぐるしい展開に、ついていくのがやっと。

 もちろん主役は、左鐙小学校の全校生徒7人です。
 彼らを軸に、盛りだくさんのイベントが催されていて、教育ファーム「さぶみ牧童探検隊」は、そのプログラムの一つです。
 
 農作物を育てることによって自分たちも成長するための教育ファームですが、農業を通じて広く、多世代間との交流をするコトで、子どもたちの成長と地域の活性化を促すのではないかと考えさせられました。

 
 2日間のイベントは本来「川釣り」でスタートする予定でした。

 一連の活動のキーステーションとなる、左鐙小学校および公民館は高津川のほとりにあります。この高津川は、全国の一級河川の中で唯一流域にダムのない川であり、水質日本一の太鼓判(@国交省)をいただいた清流です。
 ヤマメや鮎がそよそよ泳いでいるはずですが、この雨の中ではやはり危険。
 
 ということで、最初はご当地で盛んに行われているお神楽の道具「鬼棒づくり」体験からスタートしました。お神楽は元来、神様に豊かな実りをいただいた感謝と、来年の豊作を祈念する“お祀り”でしたから、農に密接な関係があります。
 さまざまなイベントに招待される「子ども神楽」。教育ファームの活動の中、秋の収穫祭(当地区では10月開催予定)などで、ほ場に特設会場を設けて「お神楽をやってみてはいかが?」と、提案したい。食べ物を作る楽しさ(=大変さ)だけでなく、地区独特の収穫の喜び方も体験できたら、より印象に残るのではないかと思うのです。


 いきなりお神楽の話になっちまいましたが、ここで2日間のプログラムを整理します。大まかに3つの催しがぎっちり詰まっています。

1)女性ボランティアの講習&交流会
2)左鐙小学校児童と津和野町の児童の交流レクリエーション会
3)さぶみ牧童探検隊(教育ファーム)

 
 1)は8月に開催される宿泊体験のボランティアスタッフ育成と地元の大人たちとの意見交換会。といっても、高津川の蛍狩り、地元温泉に入湯などのアトラクション(?)付きです。おそらく、夏のボランティアだけではなく、さまざまなところで彼女たちは活躍していくのだと思います。

 2)は定期的に行われている地元子供会の年中行事。2日目の午前中に左鐙小学校の体育館で開催されました。約30人の子どもと、保護者の方、ボランティアがみんなで楽しく遊んでいました。この交流会から、3)の牧童探検隊にはしごする他地区の児童も多いようです。


 様々な催しを一気に行った、という感じではありますが、すべて「交流」を軸としいて、それぞれがリンクしています。さぶみ牧童探検隊の京村まゆみさんを中心に、それほど多くないスタッフのみなさん(保護者の方)で切り盛りするために、同時開催するのは合理的です。

 なによりも印象に残っているのは、仕事の合間をぬって大人が入れ替わり立ち代わり参加する姿勢です。仕事帰り、ユニフォーム姿ですっと現れたり、仕事を抜け出して昼ご飯を一緒に食べたり。使命感というより、楽しまれている様子がビシビシ伝わってきますよ。
 そして、左鐙小OBの中学生も結構イベントに参加しているのにもビックリです。ボクは中学生のころ、親と行動をともにするとか、地域の活動に参加する何てカッコ悪いと思っていましたから。ひねたすれっからし中学生で、今もその気分を引きずっているボクにすると、弟や妹の世話をする中学生の姿は驚異的です。

 ということで3)の教育ファームも「交流」を目的としているのは一目瞭然です。小学校の統廃合が盛んに行われている昨今、地元に小学校を残したい! というのは切なる願いで、山間留学などで児童数を出来る限り集めたい。そんな目標がきっちり定められています。
 これらのイベントは、魅力的なカリキュラムを構想するリサーチの場であり、左鐙というエリアの豊かさをプレゼンテーションする機会でもあるわけです。


 

 さて本題のファーム的活動は、2日目の午前中から。
 子どもたちは、調理体験してお弁当を作ります。本来は、ファームのほ場である「京村牧場」でお弁当を作り、農業体験で汗をかいてみんなで食べる。というシナリオであったのですが、天候が芳しくないため公民館で調理して、その場で食べました。
 1〜2年生は、小麦粉をこねて団子づくり。
 3〜4年生は、野菜を切ったあと、ダゴ汁づくりに。
 5〜6年生は、米を研いでかまどで羽釜を使った炊飯に
 それぞれチャレンジです。


 調理だけでなくあらゆる場面で、左鐙小セブンがイニシアティブを取ってみんなを引っ張る姿が光ります。ホームグラウンドなので当然といえば当然かもしれませんが、こういう場があればこそ見えてくる姿です。
 バリエーションに富んだ形と大きさの団子たっぷりのダゴ汁も、釜で炊いたご飯もウメーかった。みんなこれで、リキが入ったんじゃないでしょうか?

 午後からは京村牧場で、サツマイモの植付け、畑の草抜きなどを行い、牛の世話。ほんとモー、盛りだくさんです。
 牛の世話は大まかに、エサをあげることと牛の住環境を整えることの2つがお題目です。お腹をすかせた子牛は、手を差し出すと指をチューチューします。つぶらな瞳で一心不乱に吸いつづける子牛のおっぱいを吸う感触に、子どもたちは母性や父性を喚起された様子で、もう一所懸命世話をしますよ。



 自分たちが名付け親になったこともあって、愛情は倍増。ちなみに牛も戸籍のように正式名称を登録するのですが、オスは漢字で七文字まで、メスはひらがなで七文字までというルールがあるんです。
 ちなみに京村牧場では食用の牛を育てています。いずれ子どもたちは、ちょっと悲しい体験をすることになるんです。


 また一頭ブタを飼育していて、豚の赤ちゃん(一頭だけ。ほかはみな死んじゃったそうです)の抱っこ体験も興味深かったです。もう母親のような顔で慈しみながら抱きかかえる子もいれば、おっかなびっくりの子もいて。リアルなお母さんから話されてずっと震え通しだった豚の赤ちゃんも大変だったろうな、と思います。ただ、前者の子に抱きかかえると、慈愛が伝わるのでしょうか、震えがピタリととまりますね。この子もアイドルになっていくのしょうね。


豚の赤ちゃんは、親に似ずとってもかわいい

 濃密な2日間でボクはグッタリしながら、帰りの電車に乗り込みました。疲れていはいましたが、いろいろな思いがずっと頭をよぎります。
 「少人数クラスで社会性が醸造できないから、学校を統廃合するなんて短絡的だ。左鐙の子たちはたった7人だけど、社会性は育っている」
 「みなさんにとっては、たかが7人かもしれませんが、されど7人なんです」
 「地域社会のアイデンティティーが壊れているけれど、小学校は最後の砦かもしれない」
 「統廃合してスクールバスを出して町中の学校に通わせるのなら、より環境の整った田舎の学校に統一してもいいのでは?」
 京村さんをはじめとして、みなさんの言葉がよみがえります。

 小学校などでは「学習」に重きを置いた取り組みになります。また地域での取り組みは「交流」が主目的になる傾向が強いです。
 あらためて、農作物を子どもが育てるという教育ファームは、さまざまな可能性を秘めた事業であると再認識しました。


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