2008年06月29日
1300年の歴史か、大人の理屈か
担当者: 寺谷カテゴリー: 近畿エリア(奈良県)
キーワード: 高取町 / 黒大豆 / 白大豆 / 茶大豆 / 播種 / 定植 / へそ / 短時間 / 味噌 / 統廃合 / ちょ縄 / 農具 / 田植え / 水田 / 小学校
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6/27(金)、奈良県高市郡高取町にある、たかむち小学校の取り組みにおじゃましました。
たかむち小学校の最寄の駅、近鉄「壺阪山」駅を出ると、「観光とくすりの町」の看板があり、道中を注意深く見ていると、比較的小さな製薬会社がいくつもありました。
話によると、昔は薬草などが豊富に採れたらしく、今でも富山に負けないくらい、高取町の置き薬は全国規模の知名度だそうです。
観光といえば、奈良はもうご存知の通り。
駅前のエリア地図をみると、無数に古墳やら陵墓が点在しています。
隣駅の「飛鳥」には、極彩色の壁画で有名な「高松塚古墳」もあり、石を投げれば国宝に当たるほど由緒正しき遷都1300年の歴史です。
さて、今回、たかむち小学校5年生約60名の取り組みは、黒大豆の播種、そしてすでに育苗された黒大豆、白大豆、茶豆の定植作業でした。
ですが、体験できる時間はわずか45分間のみ。
短い時間で終えるよう、生産者の方は事前に畑の畝の上に苗と肥料をセッティングしていただいていたり、作業前の説明には要点だけをわかりやすく解説したプリントを準備していただいたりと、至れり尽くせりでした。
生産者の代表の方がプリントに沿って黒大豆の播種の説明をしてくださったのち、まずは6グループほどに分かれて、1枚128個のセルに一粒一粒、黒大豆の豆をまきました。
ポイントは、「へそ」を下にすること。
この話は、すでに「ほほえみの会」の記事でも同様のことが伝えられていますが、そうしないと根がうまく出ず発芽しないそうです。
まずは生産者の方たちが実演して、今度は児童たちの番。
みんなでいっせいに播種を始めたところ、はて?どのセルに埋め込んだのかわからなくなるケースも。
ときどき、「へそ」が上になっているのもあったようですが、発芽しないのもご愛嬌ということで。

時間がないので急いで定植をする畑に移動です。
畑は学校の体育館のすぐ裏にありました。
畑ではすでに大豆の苗がセッティングされていて、生産者の方が植え方の手本をレクチャーされ、続いて児童たちも実践。
ここでのポイントは、根っこからすぐ上の子葉を畝に対して垂直になるように植えること。
いわれるがままに作業をする子もいれば、「どうして?」と質問をしている子どももいました。
その理由は、子葉を垂直になるように植えないと、隣同士の葉が重なり合ったりして収穫しづらくなるからだとか。
生産者の方が「植物は皆同じで、太陽の方向に同じように成育するんだ」と説明されておられました。
考えてみたら、当然のことですが、いわれてみないとわからないことばかりです。
定植は、児童一人当たり5~6株ほどで終了。
いかんせん45分という時間枠の中ではこれぐらいが限界ですね。
すべて無事に植え終わって、「どれが黒大豆で、どれが白大豆で、どれが茶豆ですか?」という質問に、生産者の方は「・・・できればわかる!」。
た・確かに。
蛇足ではありますが、45分という時間ではどうしても児童たちの体験が「やっつけ」のように思えました。
質問や疑問、自分で考える時間、それ以外に脱線する部分もほとんどなく、決まったことをただただこなすといった感じです。
生産者の方も、「昔(小学校統合前)は、30人くらいやったから、ゆっくりと教えながらできたけど、今日はバタバタや」とつぶやいておられました。
お忙しい生産者の方たちに時間を割いてもらって、短時間で終わらすためには事前の準備にはそれ相応の時間が必要なはずです。
児童たちもどことなく物足りない雰囲気が漂っています。
せっかく実施している教育ファームなのに、かなりもったいない気がしてなりません。
大豆の定植が終わり、児童たちが植えた田んぼをみせていただきました。
もち米の田植え自体は6/13(金)に終わっていて、田んぼの真ん中あたりから背中合わせ?(いや、頭合わせ?)に反対方向へと「ちょ縄」(「田植え綱」のことを高取町では「ちょ縄」というそうです)を使って手植えされたようです。
その様子は、たかむち小学校のブログで紹介されていますので、そちらをご覧ください。
しかしながら、奈良という土地柄でしょうか、植え方に気品を感じませんか?
というのも、豆の定植の説明を受けている際に、担任の先生の号令でかぶっていた黄色い帽子を全員が脱帽するなど、きちっとした礼儀作法が身についている児童たちのようでしたので、苗もどことなく礼儀正しく植わっているように思えた次第です。
収穫されたもち米はお餅に、大豆はお味噌になるそうです。
ぜひ、炙り餅にお味噌をつけていただきたいものです。
さらに雑感ですが、詰め込み教育のオルターナティヴとして2002年ごろから「ゆとり教育」制度が実質的にスタートし、その象徴が「総合的な学習の時間」だったと思います。
しかし、「ゆとり教育」が導入されて以来、その反面では日本の子どもたちの学力の低下が叫ばれるようになり、今年度あたりから一部「ゆとり」を見直す状況にあるようです。
必ずしも正しくはないですが、たかむち小学校の45分時間限定なる取り組みはどこか「ゆとり」見直しの端緒を示しているような気もします。
また、島根県「さぶみ牧童探検隊」の記事にもあるように、たかむち小学校は児童数の少なくなった育成小学校を廃校し、高取小学校に統合して今年度から改めて開校された小学校です。
たかむち小学校の駐車場にスクールバスが3台ほど停まっていて、かなり遠くから通ってこなければならない児童がいるという話でした。
生産者の方が「昔は、ゆっくりと教えながらできた」と独り言のようにつぶやかれた意味を、今回の統廃合と重ね合わせて考えてみる必要があるなと思いました。
教育制度の変更、小学校の統廃合など・・・すべて大人の理屈ですから。
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