9/14(土)、快晴。
大阪府和泉市の「和泉市教育ファーム推進協議会」さんの取り組みにおじゃましました。
和泉市での教育ファームは当初、一般参加の地元家族による農業体験だけを計画されていましたが、合わせて地元の横山小学校5年生にも取り組んでいただいています。
この日は、一般参加の家族を中心として、大根・ニンジン・小松菜の播種と白菜の苗の定植を行いました。
ちなみに一般参加のプログラムは全部で5回を予定されていて、今回が第3回目。
6/29(日)の第1回目は残念ながら雨で中止となり、予定されていた黒豆・大豆の播種とサツマイモの苗の定植は、後日、地元の生産者のみなさんにしていただいたとのこと。
8/3(日)の第2回目は、大豆やサツマイモの観察したのち、農場のある小川(こがわ)集落を散策して地域の伝統文化について座学をされ、予定にはなかったスイカとカボチャの収穫体験もされたそうです。
そして、一連の取り組みの指導していただいているのは、NPO法人いずみ・きららファーム理事長の飯阪さん。
そのほか協力していただいている地元の生産者の方たちや飯阪さんの呼びかけで個人参加されていた方たちからは、「先生」と呼ばれている、とっても愛嬌のあるフレンドリーなおじさんです。
農文協本部から聞いていた話では、「農業団地には万国旗が飾ってある」ということで密かに楽しみにしていたのですが、この日は残念なことにありませんでした。
参加者が集まるのを待って、「先生」こと飯阪さんが本日の作業内を説明して取り組みがスタートしました。
まずは、大根の種まきをして、その後白菜の苗を植え、ニンジンと小松菜の種をまくとのこと。
大根の種は3粒ほどまいて、それから2つを間引きして1つだけ残すのが一般的ですが、あとの手間を考えて今日は「1発1中」方式、つまり1ヵ所に1粒だけまきます。
さらに、大根の種をまく「機械」を今回用意してるので、それを使います。
素人の私はなんとも思わなかったんですけど、飯阪さんの呼びかけで個人参加されているほとんどの方たちは、かなり農業に精通(いわば「セミプロ」)していらっしゃるようで、「1発1中」方式ということに少しざわめきながらも、「先生」の妙な自信に「とりあえず黙るしかないな」といった感じでした(笑)。
そして、秘密兵器の「大根の種まきマシーン」は、どんな画期的な機械が登場するのかと思いきや、写真のような恐ろしく原始的な道具で、さらに参加者の方たちを黙らせました(笑)。
とはいえ、見かけによらずなかなか便利な道具、否、機械で、地面に押し立てるだけで一気に9ヵ所も種をまくくぼみをつけることができます。
シンプル・イズ・ベストですね。
この秘密兵器のおかげで、大根の種まきは順調に進めることができ、続いて白菜の苗を植える作業に移りました。
白菜の苗は40㎝間隔で1株ずつ植えていきます。
事前に40㎝に切り分けた木の棒で間隔を測りながら、子どもたちも見よう見まねで1株ずつ植えていました。
しかしここでも「セミプロ」の参加者の方から「先生!申し送りがうまくいってないので、同じところに2つも3つも植わっているところがありますよ!」と手厳しい指摘に、飯阪さんは「ごめんなさい」とすぐさま反省のご様子で、「先生」のひょうきんなしぐさがなんともラブリーでございました。
植え終わった白菜の苗には、ひしゃくで水をやります。
あまりたくさんやらないように、苗の周りを円を描くように優しく。
親子参加の方たちも、「こうやってやるんやで!よー見ときや」と子どもたちにお手本を示すように水をやっておられました。
さらに、ニンジンの種は密植させるように、小松菜は3粒ずつ20㎝間隔ほどでまき、最後にホースで畑全体に放水して終了。
見ていた限り、ニンジンと小松菜を勘違いして、小松菜の種を同じところにバラバラとまいていた親子さんもいらっしゃいましたが、それも芽が出てからのお楽しみということでいいんじゃないでしょうか?
とにかく感じたことは、この日はお天気にも恵まれて、ほのぼのとしたのどかな雰囲気だったことで、それもこれもきっと「先生」の人柄なのかなぁと。
指導していただいているプロの方たちも、長年農作業を続けられているセミプロの方たちも、今回始めて親子参加した方たちも、そしてはじめから終わりまで虫取り網でトンボを採ろうとしていた子どもたちも、「先生」の手のひらの上でそれぞれが自然とゆっくり戯れた一日でした。
本日の取り組みが終わった後、すでに植え終わっていた黒豆、大豆、サツマイモなどの畑も見せていただいたのですが、ウサギ、アライグマ、イノシシたちに、せっかく出た芽や育った苗を食べられる被害もかなり出たということでした。
写真を見てもおわかりのように、かなり土が見えてしまっている畑もあって、ちょっと深刻でした。
なんとか収穫できるようにと祈るばかりです。
9/11(木)、晴天。
6月に「
ほたこえた」高知市介良小学校でついに稲刈りが行なわれました。
事前に校長先生からうかがった話では、田んぼのおやじこと中島さんが「刈り取るのもったいないわ」といわれるほど、田んぼは黄金色に輝いていたそうです。
うかがったときも、大きく頭を垂れた稲穂が「ようこそいらっしゃいました」とあいさつしてくれているようにも思えました。
田んぼに集合した児童の前で、さっそく中島さんが鎌の使い方などをレクチャー。
鎌は、斜め下から手前に刈り上げるように使うと上手に刈れます。
刈り取った稲穂は、自分の近くの空いたところに全部同じ方向に向けて積んで山を作ってください。
だいたいこの稲ひと束でご飯一杯分ぐらいになるわ。
さぁー!田んぼに入った!入った!
田んぼの広さは約12a(1,200㎡)でこれを約90名の手ですべて刈り取ることになっています。
地元生産者の皆さんに見守られながら、子どもたちは好きな場所に行って稲刈りを始めました。
田植えから稲刈りまで終始一貫自由奔放。
介良小学校はやっぱりそうでないといけません。
他の取り組みの稲刈りと一緒で、意外にみんな手馴れた手つきでどんどん刈り取ります。
中には教えられた鎌の使い方はせず、鉈や居合い切りのように一気に鎌を振り下ろして刈り取る子どもがいたりして、その様子を見ていた生産者の方は「実際その方がよー切れるんよ」と苦笑い。
介良小学校の児童たちは、どうもそういった才能に溢れているようですね。
刈り取りも進むにつれて、稲穂の間や地面の割れ目に潜んでいたカエルたちがいっせいに姿を現しました。
今度はカエルを追いかけて捕まえるのに夢中になったり、逆に恐怖のあまり立ちすくむ子どもがいたり。
ただ「今日初めてカエルに触った」という男の子がいたのは、ちょっと意外でした。
稲刈りの途中、刈り取った稲穂を見ながら何やら独り言をつぶやいている子を見つけました。
寺谷:どうしたの?
児童:あの~、これは麦ですか?
寺谷:?!いやいや、これはお米よ!(汗)
児童:・・・・(納得していない様子)
児童:じゃー、これでビールはできますか?
寺谷:?!?!いやいや、麦じゃないからビールはできないよ!(汗)
児童:・・・・(やっぱり納得してない様子)
この子は、いったいいつから米ではなく麦を育てていると思い始めていたのでしょうか?
ここまで自由だとさすがに絶句します。(笑)
植わっていた稲がすべて刈り終わると、今度はそれをコンバインで脱穀。
一瞬で脱穀してしまうコンバインの様子に、子どもたちも唖然としていました。
他方、刈り残しや落穂も残さず収穫していきます。
そういえば同じ高知市の横内小学校での稲刈りのときにある先生が児童たちに向かって、「昔は落穂拾いは子どもたちの仕事だったそうだよ」とおっしゃっていたのを思い出しました。
こういう地味な作業から、お米の大事さなんかを感じ取ってくれたらいいのだけれども。
さて、コンバインでの脱穀も終わり、児童たちの目前でコンバインから一気に籾が吐き出されました。
収穫量は約600kgほどで、中島さん曰く、「一年間に10人が食べる量」に相当するそうです。
それを多いと感じるか少ないと感じるかは人それぞれだと思いますが、5年生88名が丹精込めて育てたお米であることには違いありません。
そして今日の作業の締め括りに、中島さんからわらや籾殻について次のような話をしていただきました。
脱穀したあとのわらや籾殻も、昔は捨てることなく使っていました。
例えば、わらは、肥料にしたり、しめ縄や草鞋を編んだり、また保温・保湿効果が高いので、畑の上に敷いて雑草が生えるのを抑えたりするのに利用したり、家の屋根にも使ったりしたもんです。
また、籾殻も肥料や、良く燃えるので燃料に使ったり、その他リンゴなどを箱詰めするときのクッション材としても再利用されていました。
また今後そういった使い方が見直されるかもしれません。
その話を子どもたち以上に関心を持って聞いていたのは、他でもない私たち大人でした。
昔の人は、ずいぶん地球に優しい暮らしをしていたのだと。
稲刈りが終わったあとの田んぼを見ながら、稲刈りの最中にある児童と交わした会話の内容が気になりました。
今日収穫したお米は次回おにぎりパーティーで使われいる予定であると聞いていたので、その子に確認してみるとあまりうれしそうな顔をしませんでした。
その理由を聞いてみると、ご飯があまり好きじゃないといます。
なぜご飯があまり好きじゃないのかさらにたずねてみると、「ご飯はあまり味がしないから・・・パンの方が好き」だと答え、「でもカレーや炊き込みご飯、ゆかりご飯とか味がついていたら食べる」とも話してくれました。
嫌いなものを無理やり食べさせる必要はないと思いますが、「白米に味がない」という発言はちょっとショッキングでした。
大人のエゴかもしれませんが、できることなら、今回自分たちで育てたお米を食べて、「白米は美味しい」と感じてほしいなぁと思いました。
そして、小学校2年生のサツマイモ畑の様子ですが・・・・
静原小学校と同様に自主規制とさせていただきます。(笑)
8/6(水)、再び高知県の介良小学校さんの取り組みにおじゃましました。
朝の9:30ごろでしたが、真夏の太陽にぐんぐんと気温も上昇。
猛烈な暑さの中、5年生約70名と2年生約60名のダブルヘッダーで田んぼとサツマイモ畑の管理作業が行なわれました。
まずは5年生の田んぼの草引きから。
6/10にあれだけ「ほたこえた」田植えから約2ヶ月、「
空中田植え」まで飛び出したわけですが、稲はしっかりと生育していました。
一見すると雑草がないような田んぼでも、稲の合間をかき分けてみるとやはり生えていました。
腰を入れて全力で引っこ抜こうとしても、雑草は途中でちぎれてなかなか抜けない様子。
みるみる体力を消耗していく児童たち。
カエルやバッタやクモやイモムシやトンボやらに気を引かれながらも、炎天下の中の草引き作業は続きます。
じっくり観察すると、まだ若い万緑の稲穂に小さな白い花が咲いていました。
児童たちは気づいただろうか?
場所を移して小学校2年生のサツマイモ畑の様子を見せていただきました。
どれがサツマイモの葉でどれが雑草かわからないくらいの状態で、わらわらと児童たちはいっせいに雑草をむしっていました。
「これは抜いていいの?」、「ぐぐぐっ!抜けない!」と元気いっぱいです。
みんな小麦色に日焼けしていて、青っ白い子どもは誰一人としていませんね。
全体を通して感じたことは、どれが雑草で、どうやれば根っこからうまく引っこ抜くことができるのかを、事前にもう少ししっかりレクチャーしてあげればよかったかもしれません。
辛い作業ですからちょっとでも楽にできれば、草引き以外のことに関心を向ける余裕ができたかも。
まぁ、この炎天下ではどうしようもありませんけど。
草引きが終わった田んぼをもう一度観察しに戻りました。
よく見ると、稲が植わっていない場所があったり、用水路の水門のところに稲が植わっていたり、やっぱり自由奔放に「ほたこえた」田んぼですね。(笑)

島根県津和野町の左鐙という地区で6月21、22日の2日間お世話になりました。小雨がぱらつくあいにくの天候だったものの、小中学生、未就園児、地域のみなさん、ボランティア候補の女性たちが入り乱れてのバトルロワイヤル。
目まぐるしい展開に、ついていくのがやっと。
もちろん主役は、左鐙小学校の全校生徒7人です。
彼らを軸に、盛りだくさんのイベントが催されていて、教育ファーム「さぶみ牧童探検隊」は、そのプログラムの一つです。
農作物を育てることによって自分たちも成長するための教育ファームですが、農業を通じて広く、多世代間との交流をするコトで、子どもたちの成長と地域の活性化を促すのではないかと考えさせられました。
2日間のイベントは本来「川釣り」でスタートする予定でした。
一連の活動のキーステーションとなる、左鐙小学校および公民館は高津川のほとりにあります。この高津川は、全国の一級河川の中で唯一流域にダムのない川であり、水質日本一の太鼓判(@国交省)をいただいた清流です。
ヤマメや鮎がそよそよ泳いでいるはずですが、この雨の中ではやはり危険。
ということで、最初はご当地で盛んに行われているお神楽の道具「鬼棒づくり」体験からスタートしました。お神楽は元来、神様に豊かな実りをいただいた感謝と、来年の豊作を祈念する“お祀り”でしたから、農に密接な関係があります。
さまざまなイベントに招待される「子ども神楽」。教育ファームの活動の中、秋の収穫祭(当地区では10月開催予定)などで、ほ場に特設会場を設けて「お神楽をやってみてはいかが?」と、提案したい。食べ物を作る楽しさ(=大変さ)だけでなく、地区独特の収穫の喜び方も体験できたら、より印象に残るのではないかと思うのです。
いきなりお神楽の話になっちまいましたが、ここで2日間のプログラムを整理します。大まかに3つの催しがぎっちり詰まっています。
1)女性ボランティアの講習&交流会
2)左鐙小学校児童と津和野町の児童の交流レクリエーション会
3)さぶみ牧童探検隊(教育ファーム)
1)は
8月に開催される宿泊体験のボランティアスタッフ育成と地元の大人たちとの意見交換会。といっても、高津川の蛍狩り、地元温泉に入湯などのアトラクション(?)付きです。おそらく、夏のボランティアだけではなく、さまざまなところで彼女たちは活躍していくのだと思います。
2)は定期的に行われている地元子供会の年中行事。2日目の午前中に左鐙小学校の体育館で開催されました。約30人の子どもと、保護者の方、ボランティアがみんなで楽しく遊んでいました。この交流会から、3)の牧童探検隊にはしごする他地区の児童も多いようです。
様々な催しを一気に行った、という感じではありますが、すべて「交流」を軸としいて、それぞれがリンクしています。さぶみ牧童探検隊の京村まゆみさんを中心に、それほど多くないスタッフのみなさん(保護者の方)で切り盛りするために、同時開催するのは合理的です。
なによりも印象に残っているのは、仕事の合間をぬって大人が入れ替わり立ち代わり参加する姿勢です。仕事帰り、ユニフォーム姿ですっと現れたり、仕事を抜け出して昼ご飯を一緒に食べたり。使命感というより、楽しまれている様子がビシビシ伝わってきますよ。
そして、左鐙小OBの中学生も結構イベントに参加しているのにもビックリです。ボクは中学生のころ、親と行動をともにするとか、地域の活動に参加する何てカッコ悪いと思っていましたから。ひねたすれっからし中学生で、今もその気分を引きずっているボクにすると、弟や妹の世話をする中学生の姿は驚異的です。
ということで3)の教育ファームも「交流」を目的としているのは一目瞭然です。小学校の統廃合が盛んに行われている昨今、地元に小学校を残したい! というのは切なる願いで、山間留学などで児童数を出来る限り集めたい。そんな目標がきっちり定められています。
これらのイベントは、魅力的なカリキュラムを構想するリサーチの場であり、左鐙というエリアの豊かさをプレゼンテーションする機会でもあるわけです。
さて本題のファーム的活動は、2日目の午前中から。
子どもたちは、調理体験してお弁当を作ります。本来は、ファームのほ場である「京村牧場」でお弁当を作り、農業体験で汗をかいてみんなで食べる。というシナリオであったのですが、天候が芳しくないため公民館で調理して、その場で食べました。
1〜2年生は、小麦粉をこねて団子づくり。
3〜4年生は、野菜を切ったあと、ダゴ汁づくりに。
5〜6年生は、米を研いでかまどで羽釜を使った炊飯に
それぞれチャレンジです。
調理だけでなくあらゆる場面で、左鐙小セブンがイニシアティブを取ってみんなを引っ張る姿が光ります。ホームグラウンドなので当然といえば当然かもしれませんが、こういう場があればこそ見えてくる姿です。
バリエーションに富んだ形と大きさの団子たっぷりのダゴ汁も、釜で炊いたご飯もウメーかった。みんなこれで、リキが入ったんじゃないでしょうか?
午後からは京村牧場で、サツマイモの植付け、畑の草抜きなどを行い、牛の世話。ほんとモー、盛りだくさんです。
牛の世話は大まかに、エサをあげることと牛の住環境を整えることの2つがお題目です。お腹をすかせた子牛は、手を差し出すと指をチューチューします。つぶらな瞳で一心不乱に吸いつづける子牛のおっぱいを吸う感触に、子どもたちは母性や父性を喚起された様子で、もう一所懸命世話をしますよ。
自分たちが名付け親になったこともあって、愛情は倍増。ちなみに牛も戸籍のように正式名称を登録するのですが、オスは漢字で七文字まで、メスはひらがなで七文字までというルールがあるんです。
ちなみに京村牧場では食用の牛を育てています。いずれ子どもたちは、ちょっと悲しい体験をすることになるんです。
また一頭ブタを飼育していて、豚の赤ちゃん(一頭だけ。ほかはみな死んじゃったそうです)の抱っこ体験も興味深かったです。もう母親のような顔で慈しみながら抱きかかえる子もいれば、おっかなびっくりの子もいて。リアルなお母さんから話されてずっと震え通しだった豚の赤ちゃんも大変だったろうな、と思います。ただ、前者の子に抱きかかえると、慈愛が伝わるのでしょうか、震えがピタリととまりますね。この子もアイドルになっていくのしょうね。
濃密な2日間でボクはグッタリしながら、帰りの電車に乗り込みました。疲れていはいましたが、いろいろな思いがずっと頭をよぎります。
「少人数クラスで社会性が醸造できないから、学校を統廃合するなんて短絡的だ。左鐙の子たちはたった7人だけど、社会性は育っている」
「みなさんにとっては、たかが7人かもしれませんが、されど7人なんです」
「地域社会のアイデンティティーが壊れているけれど、小学校は最後の砦かもしれない」
「統廃合してスクールバスを出して町中の学校に通わせるのなら、より環境の整った田舎の学校に統一してもいいのでは?」
京村さんをはじめとして、みなさんの言葉がよみがえります。
小学校などでは「学習」に重きを置いた取り組みになります。また地域での取り組みは「交流」が主目的になる傾向が強いです。
あらためて、農作物を子どもが育てるという教育ファームは、さまざまな可能性を秘めた事業であると再認識しました。
6/21(土)、大阪府泉佐野市の泉佐野市公園緑化協会さんの取り組みを見させていただきだました。
近畿もあいにくの梅雨空で雨ではないかと心配していましたが、曇りのち晴れでなんとかお天気は持ちました。
近くの駅まで迎えに来ていただきまして、そのまま今日の資材を取りに、公園緑化協会さんが管理されている里山へ行きました。
この里山は、あとでいただいた『GREEN REPORT 2007』(財団法人泉佐野市緑化協会)を見て知ったのですが、元々旧泉佐野コスモポリス用地で、かつて最先端技術産業ゾーンとして買収されその後破綻した丘陵部で、ゴミの不法投棄や手入れ不足によって荒廃しきっていたようです。
そんな通称「コスモ山」の再生を2004年ごろからスタートさせ、今ではご覧のようなすばらしい里山へと生まれ変わりました。
現在、子どもの牝牛を2頭放牧されていて、美味しそうに草を食む子牛を見ていると、ここが大阪だとはとても思えない気持ちになりました。
ちなみに、彼女たちの名前を募集中とのことです。
また、納屋の裏には立派なツリーハウスがありました。
詳しいことはよくわからないのですが、一般にツリーハウスは木に直接ボルトオンする方式(アメリカ方式?)と木材と木材でクランプのように木をサンドイッチして固定する方式(サンドイッチ方式?)があるそうですが、このツリーハウスはいずれとも違うそうです。
なんと、このツリーハウスは樹木の枝分かれする部分に乗せているだけで、今のところこれがベースの樹木に一番ダメージが少ないのではないかとおっしゃっていましたが、バランスよく枝分かれしたケースでないと設置不可能ということでした(笑)。
このツリーハウスの目的をたずねたところ、「完全に遊びです」というお話で、林業や建築業といったプロのボランティアの方たちの協力を得ながら、里山作りを楽しんでおられる様子でした。
コスモ山での資材積み込みも終わり、早速ほ場に到着しました。
ほ場は住宅地の近くにあり、すぐ近くには大型スーパーマーケットが見えます。
正しくは、以前は田畑のあったところが住宅地化したということだと思います。
どちらかというと、教育ファームの「都市型」のケースといっていいのではないでしょうか?
さらにいえば、むしろこの「都市型」の教育ファームこそがこれからは典型となると思いますし、「都市型」ゆえにあえて書かなければならないなと思う事態も目にしました。
すでに、第1回目の田植えは終了しており、米は「田植え綱」を、もち米は「田植定規」を使って田植えをされたとのことです。
そして、今回は合鴨放鳥と簡単な畑仕事をされました。
参加者は小学校や新聞などを通じた一般公募の親子30組ほどで、当初予定していた20組から10組枠を広げないといけないほど多くの応募があったそうです。
合鴨を田んぼに放つのに、全面では少々広いので、今日のところはもち米を植えた部分までで仕切りを入れることになりました。
公園緑化協会さんが合鴨農法にチャレンジするのはこれが初めて。
もちろん、まわりの田んぼでは化学肥料を使った現代的農業を営まれている生産者がほとんど。
当日も、隣の田んぼの生産者の方が、合鴨農法についていろいろと質問されていました。
実は、今回合鴨農法にチャレンジした意図もここにあるということで、この一枚の田んぼから他の田んぼにも合鴨農法が波及して、この区画一体が合鴨農法地区なれば、合鴨ブランド米としてこの地区全体の活性化につながるのではないかと期待しているとのこと。
その期待を一身に背負って、14羽の合鴨ちゃんたちがデビューしました。
しばらく合鴨の愛らしい仕事っぷりを見守ったのち、お父さんたちは田んぼの回りに電気柵を廻らす作業をしていただき、児童たちとお母さんは少し離れた畑に移動し、そちらでキュウリのつるを巻きつける棹立てと肥料の散布作業を行うことになりました。
畑にはすでに、キャベツ、ナス、キュウリ、タマネギ、サツマイモなどが植わっています。
キュウリの棹立てが終わると、すでに植わっている作物に化学肥料と腐葉土を散布して、約2時間の農作業は終わりました。
さて、あえて書かなければならないと思った内容は、少々誤解を招く恐れがあるかもしれないので慎重になる必要があるのですが、泉佐野市公園緑化協会の皆さんの活動や考えがすばらしいと思ったからこそだということと、これが「都市型」教育ファームの一般的な実情ではないかということ事前にご理解いただきたいと思います。
この日の参加者は30組ほどでしたので、子どもたちも30人ほどいたと思います。
見ている限り、畑仕事をしていたのは特定の子どもたちで、残念なことに畑仕事をほとんどしていない子どもたちの姿も目立っていました。
とくにそのことを注意したり叱ったりする必要はまったくないと思うのですが、第三者の立場から見ると運営側と参加者側とで教育ファームの目的意識がうまく共有されていない温度差のようなものを感じました。
また、私の勘違いもあったのですが、参加者はあくまでも児童で保護者はその付き添い(もちろん保護者も参加可能で実際に児童と一緒に畑仕事をさている保護者の方もいらっしゃいました)だったということ。
なので、保護者の方は見ているだけで、場合によっては保護者同士で日常会話に夢中になられていた時間も長かったように思います。
その他、保護者の方が作業をしている子どもたちに、「ジュース買ってきたろか?」、「もう車で待っとくか?」、「早くしないと、終わらへんよ!」など、そんな言葉にもやはり温度差が現れていたように思いました。
さらにショッキングだったのは、腐葉土を掘り返していると一匹の
ハナムグリが這い出してきて、そのハナムグリを子どもがスコップで叩き殺そうとしていたシーンです。
子どもに残酷な一面があることを否定しませんし、自分自身も子どものとき虫を殺したことが何度もあります。
そばにいらっしゃった保護者の方も何も注意されなかったので、私もあえて傍観しましたが、しかし、今この時間が何なのか理解されておれば、おそらくそういった行為は制止されるべきだったと思います。
一方、畑仕事をしていた児童も、汚れてもいいように長靴をはいているにもかかわらず、ぬかるんでいない畝の上を歩いているのを何度か見かけました。
こういう行為も、この場合注意されるべきではないかと思われましたが、どうもそのような空気はそこにはなかったように感じました。
今回だけ見ていろいろと判断するのはあまりに軽率かもしれません。
とはいえ、「都市型」教育ファームでは、別にこれが特別なことではないようにも思えてなりません。
泉佐野市公園緑化協会さんが教育ファームを通じて伝えたい、「農業は辛いことだけではなく、誰にとっても案外楽しいことなんだ」、「今、子どもたちに伝えなければ、日本の農業や食糧事情は悲惨なことになる」という考えは、「農」にかかわるすべての人にとって共感できることだと思います。
一方、ご担当者からうかがった話では、第1回目の取り組みの際、参加者全員で昼食を食べたとき、保護者の方たちが子どもたちに「残さず食べようね」と声をかけながら美味しそうにお弁当を食べているシーンを見かけたそうです。
些細なことかもしれませんが、自然にそういう思いが言葉になって表れるということは、確実に何かが伝わっている証拠だと思いました。
今後、この教育ファームを通じてどのように変化していくのかという意味では重要なケースだろうとも思います。