9/14(土)、快晴。
大阪府和泉市の「和泉市教育ファーム推進協議会」さんの取り組みにおじゃましました。
和泉市での教育ファームは当初、一般参加の地元家族による農業体験だけを計画されていましたが、合わせて地元の横山小学校5年生にも取り組んでいただいています。
この日は、一般参加の家族を中心として、大根・ニンジン・小松菜の播種と白菜の苗の定植を行いました。
ちなみに一般参加のプログラムは全部で5回を予定されていて、今回が第3回目。
6/29(日)の第1回目は残念ながら雨で中止となり、予定されていた黒豆・大豆の播種とサツマイモの苗の定植は、後日、地元の生産者のみなさんにしていただいたとのこと。
8/3(日)の第2回目は、大豆やサツマイモの観察したのち、農場のある小川(こがわ)集落を散策して地域の伝統文化について座学をされ、予定にはなかったスイカとカボチャの収穫体験もされたそうです。
そして、一連の取り組みの指導していただいているのは、NPO法人いずみ・きららファーム理事長の飯阪さん。
そのほか協力していただいている地元の生産者の方たちや飯阪さんの呼びかけで個人参加されていた方たちからは、「先生」と呼ばれている、とっても愛嬌のあるフレンドリーなおじさんです。
農文協本部から聞いていた話では、「農業団地には万国旗が飾ってある」ということで密かに楽しみにしていたのですが、この日は残念なことにありませんでした。
参加者が集まるのを待って、「先生」こと飯阪さんが本日の作業内を説明して取り組みがスタートしました。
まずは、大根の種まきをして、その後白菜の苗を植え、ニンジンと小松菜の種をまくとのこと。
大根の種は3粒ほどまいて、それから2つを間引きして1つだけ残すのが一般的ですが、あとの手間を考えて今日は「1発1中」方式、つまり1ヵ所に1粒だけまきます。
さらに、大根の種をまく「機械」を今回用意してるので、それを使います。
素人の私はなんとも思わなかったんですけど、飯阪さんの呼びかけで個人参加されているほとんどの方たちは、かなり農業に精通(いわば「セミプロ」)していらっしゃるようで、「1発1中」方式ということに少しざわめきながらも、「先生」の妙な自信に「とりあえず黙るしかないな」といった感じでした(笑)。
そして、秘密兵器の「大根の種まきマシーン」は、どんな画期的な機械が登場するのかと思いきや、写真のような恐ろしく原始的な道具で、さらに参加者の方たちを黙らせました(笑)。
とはいえ、見かけによらずなかなか便利な道具、否、機械で、地面に押し立てるだけで一気に9ヵ所も種をまくくぼみをつけることができます。
シンプル・イズ・ベストですね。
この秘密兵器のおかげで、大根の種まきは順調に進めることができ、続いて白菜の苗を植える作業に移りました。
白菜の苗は40㎝間隔で1株ずつ植えていきます。
事前に40㎝に切り分けた木の棒で間隔を測りながら、子どもたちも見よう見まねで1株ずつ植えていました。
しかしここでも「セミプロ」の参加者の方から「先生!申し送りがうまくいってないので、同じところに2つも3つも植わっているところがありますよ!」と手厳しい指摘に、飯阪さんは「ごめんなさい」とすぐさま反省のご様子で、「先生」のひょうきんなしぐさがなんともラブリーでございました。
植え終わった白菜の苗には、ひしゃくで水をやります。
あまりたくさんやらないように、苗の周りを円を描くように優しく。
親子参加の方たちも、「こうやってやるんやで!よー見ときや」と子どもたちにお手本を示すように水をやっておられました。
さらに、ニンジンの種は密植させるように、小松菜は3粒ずつ20㎝間隔ほどでまき、最後にホースで畑全体に放水して終了。
見ていた限り、ニンジンと小松菜を勘違いして、小松菜の種を同じところにバラバラとまいていた親子さんもいらっしゃいましたが、それも芽が出てからのお楽しみということでいいんじゃないでしょうか?
とにかく感じたことは、この日はお天気にも恵まれて、ほのぼのとしたのどかな雰囲気だったことで、それもこれもきっと「先生」の人柄なのかなぁと。
指導していただいているプロの方たちも、長年農作業を続けられているセミプロの方たちも、今回始めて親子参加した方たちも、そしてはじめから終わりまで虫取り網でトンボを採ろうとしていた子どもたちも、「先生」の手のひらの上でそれぞれが自然とゆっくり戯れた一日でした。
本日の取り組みが終わった後、すでに植え終わっていた黒豆、大豆、サツマイモなどの畑も見せていただいたのですが、ウサギ、アライグマ、イノシシたちに、せっかく出た芽や育った苗を食べられる被害もかなり出たということでした。
写真を見てもおわかりのように、かなり土が見えてしまっている畑もあって、ちょっと深刻でした。
なんとか収穫できるようにと祈るばかりです。
8/25(月)、天気は快晴。
この日は、高知県高知市の横内小学校5年生3クラス、約90名による稲刈りにおじゃましました。
横内小学校は、閑静な住宅地である南高台という丘の上にあり、一見すると「こんな住宅地に田んぼや畑なんてあるの?」と思われる環境ですが、そういう環境だからこそ児童たちにとって農業体験は新鮮な刺激を与えているのかもしれないと感じます。
小学校から田んぼまでは丘を下って徒歩10分ほどです。
5/1(木)に田植えをしてから約4ヶ月。
以前うかがったときには、苗がしっかり曲がっていた(笑)田んぼには稲穂が撓わに実り、初秋らしく頭上近くでは赤とんぼが無数に巡回していましたが、土佐は午前中といえどもまだまだ暑かった。
横内小学校では、昔の稲刈りと現代のそれとを体感してみようということで、半分は児童たちが鎌で刈り取りし、もう半分はコンバインで行ないました。
さらに、手で刈った稲は、昔の農具である足踏み式脱穀機と唐箕(とうみ)を使います。
足踏み式脱穀機は子どものときに農家の友だちの家で見たことがありましたが、唐箕は教科書くらいでしか見たことがなく、実物を目の前に少し興奮しました。
鎌で稲を刈る方法を地元の生産者の方たちにレクチャーしてもらったのち、早速稲刈りに挑戦です。
児童たちは、稲刈り班、運搬班、脱穀班の分業体制で、その役割をローテーションしていました。
児童にとって稲刈りは初体験だから「きっと手こずるだろう」という予想は外れ、意外にテキパキと稲刈りは進んで行きます。
生産者の方も「なかなか良い手つきだ」と褒めるほど(お世辞じゃないですよね?)。
ある子どもは「サクサク刈れて気持ちいい!」と、何かが憑依したような勢いで稲を刈り続けていました。
稲刈りの合間で、昔と今の農具を比較するため、実物のコンバインを見せてもらっていながら、稲を刈り取る部分には「鎌」が付いていること、内部の脱穀する回転ドラムと足踏み式脱穀機のそれとが基本的には同じ機構であることなど説明をしていただきました。
児童たち以上にメカ好きの私にはたまりません。
稲刈りが順調が進む中、脱穀班は、「お・重い」といいながら両手いっぱいに刈り取られた稲穂を抱えて脱穀する順番を待ちます。
足踏み式脱穀機は、文字通りペダルを踏んで逆V字の針金の刃がいくつも付いたドラムを回転させ、その回転するドラムに稲穂を当てて稲穂から籾を剥ぎ飛ばして脱穀する農具です。
回転するドラムの勢いに負けて稲穂ごと手を持っていかれそうになる児童もいましたけど、生産者の方たちが力強くサポート。
とはいえ、生産者の方もいまどきこのような器具を使われているわけではないので、さすがに休みなくペダルを踏み続けて「足が疲れた~」とおっしゃっていました。
脱穀された籾はふるいにかけられ、さらに唐箕を使って籾殻、軽い籾、重い籾の3つに選別されます。
この唐箕が実に優れものでした。
唐箕は、中央上部の漏斗(ろうと)から籾を落としながらハンドルを回転させ風を送り込み、その風力によって一番軽い籾殻やゴミ、あまり中身の詰まっていない籾、しっかり中身の詰まった籾がそれぞれ別々の出口から排出される構造になっています。
実演してくださったベテランの岡林さんの手元をみながら、思わず「すごい!」と声を上げてしまいました。
何がすごいかというと、唐箕は籾の重さを風力で選別するわけですから、ハンドルを回す力が強すぎても弱すぎてもうまく籾を選別できません。
右手で風車の回転数一定に保ちながら、同時に左手は漏斗から一気に籾が落ちないように弁を微妙に調節されていました。
これは、熟練した技術がいる作業ですし、ほとんど木で作られたこの器具がいまだに稼動することにとにかく驚きました。
他方、先着何名かの児童が試乗させていただきコンバインでの稲刈りも体験。
レバーひとつでアッという間に稲が刈り取られ、同時に脱穀も選別も機械の中で行なわれていきます。
調子良く手で刈っていた児童たちも、その様子を見て思わず手を止め、「あぁ~しんど」という感想をもらしていました。
さて、児童たちが鎌で手刈りし、足踏み式脱穀機で脱穀をして、唐箕を使って選別した量は、ザルに3杯ほどでした。
今日、児童たちが汗をかきつつ収穫した量を見ながら担任の先生が一言。
がんばって収穫してこの量をみれば少なく感じるけど、子どもたちの中には大きな収穫があったでしょう。
私もそう信じたい。
すべての稲を刈り終わり、最後に児童たちに感想や疑問などがないか先生が問いかけましたが、あまりの暑さに疲れたのか誰も手を上げる子はいません。
そこで野村先生が代わりに、「なぜ、こんなにトンボがいっぱい飛んでいるのか?」と生産者の岡林さんにたずねられ、その疑問に岡林さんは次のように答えてくださいました。
まだ稲を刈り取る前、田んぼにはたくさんのトンボやカエルがいたのはエサとなる小さな虫がいっぱいいたからです。
今はもう虫が隠れる稲穂がなくなったので、トンボの数もずいぶん減ってしまったでしょ?
人間の目には見えなくても、トンボやカエルにはよく見えている。
最近はほとんど見なくなりましたが、田んぼにはカエルを食べるヘビもたくさんいました。
トンボやカエルが食べる虫、またその虫が食べる虫、その虫が稲を食べ、人間はその虫を抑えようとする・・・・といったように、田んぼひとつとってもいろんな関係があるんです。
その話を児童たちは静かに聞いていました。
ちなみに、今日収穫したお米は、炭・ガス・電気で炊き分けてその味を比較したり、児童からの発案で米粉を使った主食やデザート作りをすることになっています。
ここからは雑感です。
田んぼまでの行き帰りにご担当の先生方からうかがった話です。
教育に農業体験を取り入れることに熱心な横内小学校ですが、ご担当の先生たちの共通の課題として、農業体験がその成果発表やイベントのためのイベントで終わってしまっている側面は否めないということ。
もちろん、イベントのためのイベントに意味がないとは言いませんが、小学校という教育現場としてはその先にある「子どもたちの成長」にどうやってつなげていくことができるのか、その工夫を私たちは考えなければならないと先生がおっしゃっていました。
稲刈りの疲れで元気なくうなだれている児童たちに、思わず野村先生は次のような発言をされたのが印象に残っています。
もう一度田んぼの様子をよく見てください。
みんなが刈り取った稲を生産者の方たちが引き続きコンバインで収穫してくれています。
私たちはある意味、おいしいところだけを体験させてもらって・・・・。
それ以上は続けられませんでしたが、野村先生が感じられているジレンマは子どもたちにもきっと伝わっていたことでしょう。
6/27(金)、奈良県高市郡高取町にある、たかむち小学校の取り組みにおじゃましました。
たかむち小学校の最寄の駅、近鉄「壺阪山」駅を出ると、「観光とくすりの町」の看板があり、道中を注意深く見ていると、比較的小さな製薬会社がいくつもありました。
話によると、昔は薬草などが豊富に採れたらしく、今でも富山に負けないくらい、高取町の置き薬は全国規模の知名度だそうです。
観光といえば、奈良はもうご存知の通り。
駅前のエリア地図をみると、無数に古墳やら陵墓が点在しています。
隣駅の「飛鳥」には、極彩色の壁画で有名な「
高松塚古墳」もあり、石を投げれば国宝に当たるほど由緒正しき遷都1300年の歴史です。
さて、今回、たかむち小学校5年生約60名の取り組みは、黒大豆の播種、そしてすでに育苗された黒大豆、白大豆、茶豆の定植作業でした。
ですが、体験できる時間はわずか45分間のみ。
短い時間で終えるよう、生産者の方は事前に畑の畝の上に苗と肥料をセッティングしていただいていたり、作業前の説明には要点だけをわかりやすく解説したプリントを準備していただいたりと、至れり尽くせりでした。
生産者の代表の方がプリントに沿って黒大豆の播種の説明をしてくださったのち、まずは6グループほどに分かれて、1枚128個のセルに一粒一粒、黒大豆の豆をまきました。
ポイントは、「へそ」を下にすること。
この話は、すでに
「ほほえみの会」の記事でも同様のことが伝えられていますが、そうしないと根がうまく出ず発芽しないそうです。
まずは生産者の方たちが実演して、今度は児童たちの番。
みんなでいっせいに播種を始めたところ、はて?どのセルに埋め込んだのかわからなくなるケースも。
ときどき、「へそ」が上になっているのもあったようですが、発芽しないのもご愛嬌ということで。
時間がないので急いで定植をする畑に移動です。
畑は学校の体育館のすぐ裏にありました。
畑ではすでに大豆の苗がセッティングされていて、生産者の方が植え方の手本をレクチャーされ、続いて児童たちも実践。
ここでのポイントは、根っこからすぐ上の子葉を畝に対して垂直になるように植えること。
いわれるがままに作業をする子もいれば、「どうして?」と質問をしている子どももいました。
その理由は、子葉を垂直になるように植えないと、隣同士の葉が重なり合ったりして収穫しづらくなるからだとか。
生産者の方が「植物は皆同じで、太陽の方向に同じように成育するんだ」と説明されておられました。
考えてみたら、当然のことですが、いわれてみないとわからないことばかりです。
定植は、児童一人当たり5~6株ほどで終了。
いかんせん45分という時間枠の中ではこれぐらいが限界ですね。
すべて無事に植え終わって、「どれが黒大豆で、どれが白大豆で、どれが茶豆ですか?」という質問に、生産者の方は「・・・できればわかる!」。
た・確かに。
蛇足ではありますが、45分という時間ではどうしても児童たちの体験が「やっつけ」のように思えました。
質問や疑問、自分で考える時間、それ以外に脱線する部分もほとんどなく、決まったことをただただこなすといった感じです。
生産者の方も、「昔(小学校統合前)は、30人くらいやったから、ゆっくりと教えながらできたけど、今日はバタバタや」とつぶやいておられました。
お忙しい生産者の方たちに時間を割いてもらって、短時間で終わらすためには事前の準備にはそれ相応の時間が必要なはずです。
児童たちもどことなく物足りない雰囲気が漂っています。
せっかく実施している教育ファームなのに、かなりもったいない気がしてなりません。
大豆の定植が終わり、児童たちが植えた田んぼをみせていただきました。
もち米の田植え自体は6/13(金)に終わっていて、田んぼの真ん中あたりから背中合わせ?(いや、頭合わせ?)に反対方向へと「ちょ縄」(「田植え綱」のことを高取町では「ちょ縄」というそうです)を使って手植えされたようです。
その様子は、
たかむち小学校のブログで紹介されていますので、そちらをご覧ください。
しかしながら、奈良という土地柄でしょうか、植え方に気品を感じませんか?
というのも、豆の定植の説明を受けている際に、担任の先生の号令でかぶっていた黄色い帽子を全員が脱帽するなど、きちっとした礼儀作法が身についている児童たちのようでしたので、苗もどことなく礼儀正しく植わっているように思えた次第です。
収穫されたもち米はお餅に、大豆はお味噌になるそうです。
ぜひ、炙り餅にお味噌をつけていただきたいものです。
さらに雑感ですが、詰め込み教育のオルターナティヴとして2002年ごろから「ゆとり教育」制度が実質的にスタートし、その象徴が「総合的な学習の時間」だったと思います。
しかし、「ゆとり教育」が導入されて以来、その反面では日本の子どもたちの学力の低下が叫ばれるようになり、今年度あたりから一部「ゆとり」を見直す状況にあるようです。
必ずしも正しくはないですが、たかむち小学校の45分時間限定なる取り組みはどこか「ゆとり」見直しの端緒を示しているような気もします。
また、
島根県「さぶみ牧童探検隊」の記事にもあるように、たかむち小学校は児童数の少なくなった育成小学校を廃校し、高取小学校に統合して今年度から改めて開校された小学校です。
たかむち小学校の駐車場にスクールバスが3台ほど停まっていて、かなり遠くから通ってこなければならない児童がいるという話でした。
生産者の方が「昔は、ゆっくりと教えながらできた」と独り言のようにつぶやかれた意味を、今回の統廃合と重ね合わせて考えてみる必要があるなと思いました。
教育制度の変更、小学校の統廃合など・・・すべて大人の理屈ですから。
6/21(土)、大阪府泉佐野市の泉佐野市公園緑化協会さんの取り組みを見させていただきだました。
近畿もあいにくの梅雨空で雨ではないかと心配していましたが、曇りのち晴れでなんとかお天気は持ちました。
近くの駅まで迎えに来ていただきまして、そのまま今日の資材を取りに、公園緑化協会さんが管理されている里山へ行きました。
この里山は、あとでいただいた『GREEN REPORT 2007』(財団法人泉佐野市緑化協会)を見て知ったのですが、元々旧泉佐野コスモポリス用地で、かつて最先端技術産業ゾーンとして買収されその後破綻した丘陵部で、ゴミの不法投棄や手入れ不足によって荒廃しきっていたようです。
そんな通称「コスモ山」の再生を2004年ごろからスタートさせ、今ではご覧のようなすばらしい里山へと生まれ変わりました。
現在、子どもの牝牛を2頭放牧されていて、美味しそうに草を食む子牛を見ていると、ここが大阪だとはとても思えない気持ちになりました。
ちなみに、彼女たちの名前を募集中とのことです。
また、納屋の裏には立派なツリーハウスがありました。
詳しいことはよくわからないのですが、一般にツリーハウスは木に直接ボルトオンする方式(アメリカ方式?)と木材と木材でクランプのように木をサンドイッチして固定する方式(サンドイッチ方式?)があるそうですが、このツリーハウスはいずれとも違うそうです。
なんと、このツリーハウスは樹木の枝分かれする部分に乗せているだけで、今のところこれがベースの樹木に一番ダメージが少ないのではないかとおっしゃっていましたが、バランスよく枝分かれしたケースでないと設置不可能ということでした(笑)。
このツリーハウスの目的をたずねたところ、「完全に遊びです」というお話で、林業や建築業といったプロのボランティアの方たちの協力を得ながら、里山作りを楽しんでおられる様子でした。
コスモ山での資材積み込みも終わり、早速ほ場に到着しました。
ほ場は住宅地の近くにあり、すぐ近くには大型スーパーマーケットが見えます。
正しくは、以前は田畑のあったところが住宅地化したということだと思います。
どちらかというと、教育ファームの「都市型」のケースといっていいのではないでしょうか?
さらにいえば、むしろこの「都市型」の教育ファームこそがこれからは典型となると思いますし、「都市型」ゆえにあえて書かなければならないなと思う事態も目にしました。
すでに、第1回目の田植えは終了しており、米は「田植え綱」を、もち米は「田植定規」を使って田植えをされたとのことです。
そして、今回は合鴨放鳥と簡単な畑仕事をされました。
参加者は小学校や新聞などを通じた一般公募の親子30組ほどで、当初予定していた20組から10組枠を広げないといけないほど多くの応募があったそうです。
合鴨を田んぼに放つのに、全面では少々広いので、今日のところはもち米を植えた部分までで仕切りを入れることになりました。
公園緑化協会さんが合鴨農法にチャレンジするのはこれが初めて。
もちろん、まわりの田んぼでは化学肥料を使った現代的農業を営まれている生産者がほとんど。
当日も、隣の田んぼの生産者の方が、合鴨農法についていろいろと質問されていました。
実は、今回合鴨農法にチャレンジした意図もここにあるということで、この一枚の田んぼから他の田んぼにも合鴨農法が波及して、この区画一体が合鴨農法地区なれば、合鴨ブランド米としてこの地区全体の活性化につながるのではないかと期待しているとのこと。
その期待を一身に背負って、14羽の合鴨ちゃんたちがデビューしました。
しばらく合鴨の愛らしい仕事っぷりを見守ったのち、お父さんたちは田んぼの回りに電気柵を廻らす作業をしていただき、児童たちとお母さんは少し離れた畑に移動し、そちらでキュウリのつるを巻きつける棹立てと肥料の散布作業を行うことになりました。
畑にはすでに、キャベツ、ナス、キュウリ、タマネギ、サツマイモなどが植わっています。
キュウリの棹立てが終わると、すでに植わっている作物に化学肥料と腐葉土を散布して、約2時間の農作業は終わりました。
さて、あえて書かなければならないと思った内容は、少々誤解を招く恐れがあるかもしれないので慎重になる必要があるのですが、泉佐野市公園緑化協会の皆さんの活動や考えがすばらしいと思ったからこそだということと、これが「都市型」教育ファームの一般的な実情ではないかということ事前にご理解いただきたいと思います。
この日の参加者は30組ほどでしたので、子どもたちも30人ほどいたと思います。
見ている限り、畑仕事をしていたのは特定の子どもたちで、残念なことに畑仕事をほとんどしていない子どもたちの姿も目立っていました。
とくにそのことを注意したり叱ったりする必要はまったくないと思うのですが、第三者の立場から見ると運営側と参加者側とで教育ファームの目的意識がうまく共有されていない温度差のようなものを感じました。
また、私の勘違いもあったのですが、参加者はあくまでも児童で保護者はその付き添い(もちろん保護者も参加可能で実際に児童と一緒に畑仕事をさている保護者の方もいらっしゃいました)だったということ。
なので、保護者の方は見ているだけで、場合によっては保護者同士で日常会話に夢中になられていた時間も長かったように思います。
その他、保護者の方が作業をしている子どもたちに、「ジュース買ってきたろか?」、「もう車で待っとくか?」、「早くしないと、終わらへんよ!」など、そんな言葉にもやはり温度差が現れていたように思いました。
さらにショッキングだったのは、腐葉土を掘り返していると一匹の
ハナムグリが這い出してきて、そのハナムグリを子どもがスコップで叩き殺そうとしていたシーンです。
子どもに残酷な一面があることを否定しませんし、自分自身も子どものとき虫を殺したことが何度もあります。
そばにいらっしゃった保護者の方も何も注意されなかったので、私もあえて傍観しましたが、しかし、今この時間が何なのか理解されておれば、おそらくそういった行為は制止されるべきだったと思います。
一方、畑仕事をしていた児童も、汚れてもいいように長靴をはいているにもかかわらず、ぬかるんでいない畝の上を歩いているのを何度か見かけました。
こういう行為も、この場合注意されるべきではないかと思われましたが、どうもそのような空気はそこにはなかったように感じました。
今回だけ見ていろいろと判断するのはあまりに軽率かもしれません。
とはいえ、「都市型」教育ファームでは、別にこれが特別なことではないようにも思えてなりません。
泉佐野市公園緑化協会さんが教育ファームを通じて伝えたい、「農業は辛いことだけではなく、誰にとっても案外楽しいことなんだ」、「今、子どもたちに伝えなければ、日本の農業や食糧事情は悲惨なことになる」という考えは、「農」にかかわるすべての人にとって共感できることだと思います。
一方、ご担当者からうかがった話では、第1回目の取り組みの際、参加者全員で昼食を食べたとき、保護者の方たちが子どもたちに「残さず食べようね」と声をかけながら美味しそうにお弁当を食べているシーンを見かけたそうです。
些細なことかもしれませんが、自然にそういう思いが言葉になって表れるということは、確実に何かが伝わっている証拠だと思いました。
今後、この教育ファームを通じてどのように変化していくのかという意味では重要なケースだろうとも思います。
6/17(火)、天気は晴れ。
和歌山県紀の川市にある名手小学校の取り組みにおじゃましました。
紀の川市における農業と教育との連携の歴史は古く、今回協力していただいている紀の川市環境保全型農業グループさんと名手小学校とで学童農園がスタートしたのは10年以上前の1997年。
その後、栽培品目も増やしながら対象学年も拡大、また同じ地域で活動されている生活研究グループさんや食生活改善推進委員の方たちと協力のネットワークを深めつつ、現在まで活動を続けられています。
その意味では、教育ファームというコンセプトがある前からの取り組みですから、ほんとに偉大な存在です。
実際に、児童たちが田植えをしているのを見学するのはこれで2度目。
前回おじゃました高知県の
介良小学校では、「試合開始」早々、児童たちは四方八方に広がって、自由に泥と戯れていました。
で、今回は、等間隔に並び、「田植え綱」という昔ながらの道具を使いながらの田植えとなりました。
田植えは5年生が2グループに分かれて前半・後半で実施されました。
さて、田んぼはこのところのお天気と高い気温のためか水気が少なく、正直、少し臭いました。
子どもたちも、「臭い!」とか「ミミズがいてる!」とか「足がつった!!」とか「田んぼがしゃべった!?」など、ワーワー!キャーキャー!感嘆と奇声を発しながらのスタートでしたが、次第に泥の臭いや感触にも慣れ始め、黙々と田植えに汗を流していました。
田植えも終盤に差し掛かると、「臭い!」とか「気持ち悪い!」と騒いでいた児童も、その泥で遊ぶようになっていたことに感心しました。
一方、最初から最後まで一番田植えを満喫されていたのは、他でもない校長先生。
「ワシ、こんなん一番好きや!」とおっしゃって、児童たちに泥を塗るなどまるでいたずらっ子のようなはしゃぎっぷり。
先生や子どもたちも最後は、「もうほっといて田植えしよう」と呆れる始末でした。
ただ、これが意外に大事な要素だったりするような気がします。
まだ少ない事例の中での個人的意見ですが、こういう取り組みに先生や生産者といった中心となる大人が率先して楽しんでいると、子どもたちなど参加者(あるいは、傍観者も含めて)も知らず知らずの内に巻き込まれ、「開放的一体感」(「外延的一体感」という方が正確かもしれません)を感じることができるような気がしました。
そして2グループの田植えも無事に終わり、その後は体育館にて地域の生活研究グループの皆さんが準備してくださった、自家製梅干入りのおにぎりをいただくことに。
おにぎりをいただく前に、生活研究グループの代表の方が、「こびる(小昼)」と「米粒ひとつひとつの大切さ」について簡単にお話いただきました。
小さいころ田植えを手伝ったあとに畦道で食べた「こびる」(昼食と夕食の間、または朝食と昼食の間にとる軽い食事のこと)がとても楽しみで美味しかったという代表の方の話がとても印象的でしたが、これも実際に経験した人の口から伝えられることだからこそだと思いました。
みんなで「こびる」をいただいたあとに、生産者の方からいろいろとお話を聞く時間をいただきました。
これまで紀の川市環境保全型農業グループさんと名手小学校との取り組みの中で、スイートコーンと大根の栽培も行われており、スイートコーンと大根を栽培することに「意味」があることを説明していただきました。
例えば、大根は種をまいて2~3日もすれば双葉が芽を出すそうです。
この小さな双葉が重い土を押しのけて芽を出す姿に生命力を感じてほしいし、また収穫のときに大根を引き抜くと「ポンッ!」と音がなり、その音を「大根の声」だと説明されるそうです。
つまり、大根も生きているんだということを知ってもらいたいという意味が込められています(田植えのときに「田んぼがしゃべった!!」といった児童の言葉も偶然ではないように思われます)。
また、スイートコーン(とうもろこし)はとても生命力が強い植物で、激しい風雨などで幹が折れそうになると、折れないように自ら倒れ、また自力で立ち上がるそうです。
もし無理に人の手で起こそうとすると、倒れた側の根が傷ついてしまうため、無理に起こさずに自力で起き上がってくるのを待つのだとも。
すなわち、「人間も一緒だ。しんどくなったら倒れればいいし、無理をせずまた立ち上がる気になったら立ち上がればいい」ということをスイートコーンを通じて教えられるということでした。
そして何より生産者の方たちにとって喜ばしいことは、畑仕事などをしていると通学中の児童たちがあいさつをしてくれたり、「こんなところ(畑)で何しているの?」とか、農作業について「次は何をしたらいいですか?」など、日常的に自然なコミュニケーションが生まれていること。
これまでの活動が文字通り地域に根を張り実った成果なのかもしれないと思いました。
栽培のテクニックではなく、何でもって何を子どもたちに感じてもらえるか、それこそ「教育ファームだ」という確固とした信念は、経験と歴史がベースにあるからこそだと感じました。
他方で、「農作業を教えることには自信がついてきましたが、子どもたちの将来や農業の将来につながるのかどうかについては、いまだに自信がありません」というあくまでも謙虚な姿勢に、こちらが身の縮む思いでした。
P.S.
ご好意で、もぎたての若いスイートコーンをたくさんいただきました。
家にもって帰り、教えていただいた通り、軽く塩ゆでして食べてみることに。
実は、あまりとうもろこしは得意ではありませんでした・・・が、一口食べて・・・「美味し~い!」
ほのかに甘く芯までシャキッと、なんともいえない歯ざわり。
あっという間に甥っ子と一緒に食べてしまいました。
また、好き嫌いをひとつ克服しました。
ごちそうさまでした。