ブランド化の落とし穴?

2007.04.22 Selfish Study 5 Comments boff 13 views

先日、福岡市西区周船寺を訪れた。
周船寺では4年ほど前から、地元の商工業者と農業者が協力し「主船司倶楽部」という会を発足、街づくりの一環として地元で生産加工された製品に「主船司」という独自のブランド化を行っている。
「地域ブランド」の事例調査として情報収集を兼ねて訪れたのであるが。
 

JR周船寺駅のすぐそばに「じょうもんさん」という地元産品の直売市場があり、早速店内で「主船司」ブランド品を探した。
すぐに見つかるかと思いきや、「主船司」ブランド品は他の産品とごちゃ混ぜに陳列されており、唯一パッケージに貼られた「主船司」のシールで識別するしかなかった。
HPで確認する限り、「主船司」ブランドに認定された商品は8品。
しかし、「じょうもんさん」の中で確認できたのは3~4品ですべてが用意されているわけではないようだ。
せめて、「主船司」ブランド品を集めたブースでもあればそれだけで地域の熱意が伝わってくるのにと思った。
ちなみに「主船司」ブランドは以下の基準をクリアしたものが認定される(「主船司ブランド紹介」ページより)。

 

1.周船寺校区内生産物であること
2.人に安全な商品と認められたもの
[1]農業生産物・・・栽培履歴をつけ。安全に対し常に努力したと認められるもの
[2]加工産品
 A.農薬・添加物はできるだけ避ける。
 B.できるだけ周船寺生産物を使用し、生産者の顔が見えるよう、心がける。
 C.遺伝子組み換え原材料は避ける。
 D.生産工程の衛生検査を受け、安全に努力していること。
 以上、認められたもの。
3.良質で美味しい産物と認めれられたもの

 

ある意味でブランドとして認定された商品の品質を保証しているように思われるのだが、逆手に捉えれば、周船寺校区内の生産物で「主船司」ブランド化されていない商品の品質はどう判断されるのかという問題もあるだろう。
せっかくのブランド化が他のノンブランドの価値をおとしめるようなことがあるならば、全体として逆効果となりうるというリスクを想定しておかなければならない。
また、『ブランド ―価値の創造』(石井淳蔵著、岩波新書、1999年)によると、「商品を指示するだけのブランドには、価値は生じない」のであって、ブランドが「絶対的な本来の価値(意味)」に達するには根拠なき根拠の中できわめてデリケートな意思決定を繰り返すことが求められることから、その意味でブランド化は難易度が高い戦略である。
実は、周船寺には商店街がある。
国道202号線に並行して「すせんじ商店街通り」に個人商店が集積している。
しかし、閉店している店舗が目立ち人通りはほとんどないといってよい状況だった。
詳しくは調べていないのだが、JR筑肥線福岡市天神側からひとつ手前の駅前(九大学研都市駅)に売り場面積43,856㎡の真新しい「イオン福岡伊都ショッピングセンター」(2006年4月28日開店)があり、周船寺商店街に対する影響は計り知れない。
「主船司」ブランドでどこまで商店街に活況を呼び戻すことができるのか・・・・引き続き動向を見守ることにしよう。

 

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Reaction

  1. Boff より:

    付け加えると、駅前にある道の駅「周船寺倶楽部」でいただいた100円のコーヒーは大変おいしかったです。

  2. Nori より:

    さらに付け加えると、私たちは「主船寺」ブランドの1つ「もちどら」を食してみたかったのですが、製造店では売り切れ(泣)。
    一部のブランド商品はスーパーにも卸されているらしく、「もちどら」はジャスコにもあるとか。
    みなさんのご近所でも、これから「主船寺」ブランドを見かけることが多くなるかもしれませんね。

  3. Boff より:

    >製造店では売り切れ
    これ、結構重要なポイントだったでしょ?
    確かに「イオンに卸している」っていわれてましたが、イオンには行かないわけです。
    で、その代替品を買い求めるかというと、ブランド品目当てに訪れた場合、もうその気はまったくない。
    完全なる逆選択に陥ってしまっているなと。
    フォローが・・・・。

  4. speedy より:

    そろそろ誰かが言い出さないといけないと思います。
    これはブランドではないでしょ。最近あまりにも目に余ります。
    ブランド認定の基準が、ひどすぎる。なんともコメントのしようもありません。「いいもの」がブランドではないのですが、そのあたりどうも…。
    理解可能なところで、「成功事例」に基づき、お行儀よく、つくられたブランドって、退屈なものにしかなりませんよね。
    やっぱり、ブランド化事業とかで税金が使われているのでしょうね。この手の仕事を手がけている関係者にはもう少し、ちゃんと勉強していただきたいですね。

  5. Boff より:

    speedyさん、素敵なコメントありがとうございます。
    「ブランド」≠「いいもの」、まさにおっしゃる通りだと思います。
    「地域ブランド」って・・・・関サバ、関アジ、京野菜ですか?
    新しいところでいくと、××バーガーってやつでしょうか?
    「地産地消」というコンセプトも胡散臭くて嫌いです。
    志が低すぎるし、お手軽に取組まれても、地域全体が困るわけですし。

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