商店街歩記 vol.06:赤坂門市場
福岡市中央区赤坂1丁目にある赤坂門市場。
知る人ぞ知るディープスポットですが、今年2016年9月末ごろに取り壊され、68年間の歴史に幕が下ろされます。
西日本新聞の記事†1によると、開設されたのは戦後間もない1948年、60年代の最盛期には25店舗もの飲食店が隘路に軒を連ね、地域の人たちの生活を支えていたといいます。
しかし、同区画内に隣接するかたちで1979年11月にスーパーマーケットのサニー赤坂店がオープン、徐々に客足が遠のいたことは想像に難くありません。
さらに2005年に福岡を襲った福岡県西方沖地震によってアーケード自体にも大きなダメージが生じ、その頃から安全性の面でも解体に向けて交渉が進められてきたという話です。
福岡市の商店街の歴史から消滅してしまう前に、商店街歩記のアーカイブとして保存すべく、赤坂門商店街を歩いてきました。
大正通り側の赤坂門市場正面ですが、写真を見てもわかるように建物自体が歪み、軒先テントも左右に傾いた状態です。
この丁字路交差点「赤坂門市場前」の名前も、今後も残るのかそれとも変更されてしまうのか、気になるところです。
入り口にお店を構えている緒方フルーツの店頭には、今日もたくさんの商品が並んでいました。
しかし、一歩足を踏み入れるとまるで廃墟のような雰囲気で、人の侵入を拒む空気が充満しています。
アーケードの幅は2m程でしょうか? 最盛期に25店舗ものお店が営業していたとはとても想像がつきません。
現在のところは、緒方フルーツ、いっとく食堂、ヤング美容室の3店舗のみが営業を続けているようです。
少し前までは、ふきやというお好み焼き屋さんが営業していたと思っていたのですが、店頭の貼り紙には「人員不足のため営業休止」とあり、実質的には閉店したのでしょう。
アーケードの天井を見上げると採光される設計になっていますが、それよりも補強のために施された木製の梁がなんとも弱々しく感じてしまいました。
確かに、建物としての強度の問題や安全性の面からも、取り壊しの決定はやむを得ないかもしれませんね。
個人的に取り立てて赤坂門市場に思い入れがあるわけではないですが、理路整然とした無機質な街づくりの中に残るこういった「異空間」は非常に重要な飛び地だと思うので、取り壊されてしまうことはとても残念に思います。
最後に、赤坂門市場68年間の営業、お疲れさまでした。
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Notes
- 「福岡・赤坂門市場、取り壊しへ 68年の歴史に今秋幕」(2016年04月08日、西日本新聞経済電子版) ↩
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