評価尺度はバランスが大事です

2021.08.06 Selfish Study 0 Comment boff 0 view

先日、何気なくネットアンケートに協力していたとき、一応プロから見て「これはちょっと変だ」と思った調査項目がありましたのでご紹介。

 

評価尺度はバランスが大事

 

縦に質問が列記され、それぞれに対して「全く該当しない」「ほとんど該当しない」「完全には該当しない」「完全に該当する」の4つのカテゴリー(選択肢)から選ぶようになっています。
態度や評価を質問する場合によく見るオーソドックスなかたちです。
いわゆる評定尺度と言われる手法のひとつで、上記は間隔尺度と言われたりします(人によっては順位尺度に分類する場合も)。

 

パッと見てこれでよさそうですが、われわれがとくに注意するのは選択肢の間隔のバランスです。
「全く該当しない」と「完全に該当する」は評価として両極にあり、とりあえず問題ないでしょう。
しかしながら、「ほとんど該当しない」「完全には該当しない」については、「ほとんど該当しない」は「完全には該当しない」に意味的に含まれてますし、それらの間隔(距離感)はオーバーラップしているとも捉えられます。
それだけではなく、表現として「該当しない」の選択肢が多く、否定的評価に偏っているとも言えます。

 

はじめから否定的な態度や評価に偏りがあるという前提や仮定があるなど、特殊な質問でなければ、評価尺度の選択肢はバランスよく設計するのが無難だと思います。
例えばこの場合のカテゴリーの表現は、「全く該当しない」「どちらかといえば該当しない」「どちらかといえば該当する」「完全に該当する」などの方がバランスがよく、回答者の迷いは減るでしょう。
また質問内容によっては、「どちらともいえない」といった中立点、もしくは「わからない」というカテゴリーの追加を検討すべきかもしれません。

 

 

その他の質問で回答に戸惑ったのは、次のようなものでした。

 

聞きたいは週ではなく時間のはず

 

家事や介護に週平均何時間くらい費やしているを実数で入力するのですが、解答欄は「[   ]週に何時間」となっていました。
これだと回答者に「週」について記入してしまうような誤解を生じさせます。
ちょっとしたことですが、「週に[  ]時間」や「[  ]時間/週」と記入欄を工夫した方が、回答する側は戸惑わないと思いました。

 

 

最後におまけです。

 

選択を間違うと消えるって地雷?!

 

2/3くらいまで回答を進めてこの質問が登場。
「私はロボットではありません」以外を選択すると、これまでの回答がすべて消去されるというゾッとする恐ろしい質問。
人間はおおむね間違いを起こしますので、誤って「私はロボットではありません」以外を選択する可能性はゼロではありません。
そうなった場合、せっかく貴重な時間を割いてアンケートに協力してくれた人を落胆させかねないし、この質問が回答を辞退させる可能性もあるなぁと思いました。
また、もしもロボットが「私はロボットではありません」を選択したら結局排除できないのでは?とか。

 

 

長々と書きましたが、結局言いたかったことは、評価尺度を使う際は、カテゴリーのバランス(距離感)に注意しなければならないことと、調査票は回答者に誤解やストレスを与えないように設計することが非常に重要だということです。

 

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