商店街歩記 vol.05:香椎地区商店街

2007.04.10 Mall 2 Comments boff 144 views

 

概要

福岡市東区香椎地区には、大小合わせて13の商店街がある(香椎商工会連盟)。
香椎は、1977年(昭和52年)の福岡市マスタープラン(福岡市総合計画)において福岡市東部の副都心に位置づけられ、その後大規模な再開発事業が展開されている地区でもある。
福岡市新・基本計画-区基本計画』の「東区基本計画」をみると、香椎地区の目標の中には「界隈性を活かした賑わいのあるまち」として香椎駅周辺の商店街の活性化が上げられており、2015年までに道路・区画整備を行い商業エリア・居住エリアのゾーンニングを実施する計画を立てている。

他方、香椎は松本清張の『点と線』の舞台になったことでも有名である。
『点と線』は、香椎の海岸で「情死体」が発見されることからサスペンスはスタートする。
福岡署のベテラン刑事である鳥飼重太郎は捜査のため香椎駅周辺を回るのであるが、彼は次のように回想している。

 

西鉄香椎駅を通り抜けて、国鉄の香椎駅に向った。この2つの駅の間は、500メートルぐらいしかない。道の両側は、ややにぎやかな町なみであった。
西鉄香椎駅で降りて、海岸の現場までは、歩いて10分ばかりである。駅からは寂しい家なみがしばらく両方につづくが、すぐに切れて松林となり、それもなくなってやがて、石ころの多い広い海岸となった。この辺りは埋立地なのである。

 

また、香椎の海岸で死体となって発見される「お時」は、国鉄香椎駅から海岸に向かう途中で「ずいぶん、寂しいところね。」とつぶやく。
この「お時」のセリフは、香椎の海岸が『点と線』の舞台に選ばれた理由であるのだが。
『点と線』に登場する西鉄香椎駅は現在、香椎地区の一連の再開発事業(西鉄宮地岳線香椎駅周辺連続立体交差事業)により2006年5月に積み木のような高架駅へと様変わりしてしまった。
同じく『点と線』の中で香椎の海岸について次のような記述がなされている。

 

太宰帥であった大伴旅人はここに遊んで、「いざ子ども香椎の潟に白妙の袖さえぬれて朝菜積みてむ」(万葉集巻六)と詠んだ。
しかし、現代の乾いた現実は、この王朝の抒情趣味を解さなかった。

 

今、香椎の海岸から望むものは、巨大な人工島である。
 

印象

香椎地区には概要でも述べたように、13もの商店街がある。
そのうち、通称セピア通り沿いの香椎駅前商店街(地図中[1])と香椎大通商店街(地図中[2])、香椎名店街・香椎中央商店街(地図中[3])、キラキラ通り商店街(地図中[4])、みゆき通り商店街(地図中[5])の順に歩いてみた。
セピア通りは国道3号線からJR香椎駅までの比較的大きな通りで、個人商店よりも商業ビルや銀行などが立ち並んでおり商店街という感じはあまりしない。

香椎駅前商店街を3号線に向かって歩くと、西鉄高架沿いに香椎名店街と香椎中央商店街が並行するように軒を並べていた。
香椎名店街は建物の中に、香椎中央商店街は隘路にそれぞれ個人商店が集積しているのだが、一見すると同じ商店街であるような感じである。
どちらの商店街も、主に生鮮食品や乾物を扱っており、古くからのお客が多いように感じられる。

香椎名店街の入り口には「sine 1955」とあり、今から52年前に開店したことがわかる。
香椎中央商店街の始まりがいつ頃なのかはわからないのだが、1955年よりもずっと以前ではないかと思わせるほどアーケードは老朽化しており、空き店舗のシャッターや雑然とした空間がさらにそのことを助長させていた。

西鉄の高架をくぐり、さらにセピア通りを西へ歩くと左手にキラキラ通り商店街の入り口が見えてくる。
キラキラ通り商店街は20商店程度の商店街であるにもかかわらず、入り口付近からいくつか露店も出店しており、そのおかげで活気があるように感じられた。
キラキラ通り商店街は、主に野菜や果物を扱うお店が多く、露店もイチゴを扱っているところが目立った。

キラキラ通りから南へ香椎川を越えたあたりからみゆき通り商店街がはじまる。
キラキラ通り商店街よりも少し狭い感じがするみゆき通り商店街であるが、道路もきれいに整備されており、すっきりした印象をもった。
みゆき通り商店街は、衣料品や美容院、ケーキショップなど、どちらかというとファンション商品中心の店並びとなっており、お母さんと娘さんといった客層が多かったように思う。
ただ、みゆき通りのお店を紹介する看板をみると、店名をガムテープで隠したものが多いのも気になるところだった(とくに理美容院)。

 

評価

※良い:5~悪い:1
・品揃え:3・・・・生鮮からファッション商品まで
・アクセス性:4・・・・駅前からいろいろ歩いて散歩
・アメニティ:3・・・・再開発と界隈性のバランスが重要
・賑わい:3・・・・副都心だけあって人通りは多い
・ホスピタリティ:4・・・・商店街各所にベンチが準備されている
・総合評価(平均):3.4・・・・再開発の必要性があるんだろうか?

 

こぼれ話

香椎地区の商店街は想像していた以上に人通りも多く活気がり、さすが「東部副都心」といわれるだけのことはあるといったところである。
ただ、それでも商店街の空き店舗は目立つ。
2015年に向けた大規模な香椎地区再開発の影響であるのかどうかは定かではないが、理路整然としたゾーンニングの中で、今、香椎地区が有する界隈性をどれだけ残せるかが重要になるように思う。
交通の便が良くなるということは、それだけ人の流出も引き起こす可能性があることを一方で念頭に置いて置かなければならないだろう。
そのとき、人を引き寄せ定住させる要因は何なのか?
それは間違いなく「チャレンジショップ」などといった取組みではないことだけは確かだ。

 

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Reaction

  1. Pinky より:

    複数あるチャレンジショップの見学を結構楽しみにしていたけど、行ってみた2店舗は両方がアクセサリー・雑貨であったことは業種の選別に疑問が残るところだ。他にネタ・企画はないのだろうか?
    また、みゆき通りにいたコスプレ店員をもっと目立つ所で、呼び込みなどで活躍させたほうがよいと思う。好き嫌いはあると思うが、副都心以下の商店街では物凄く目を引くのである

  2. Boff より:

    空き店舗をやる気のある人に安く提供するということは良いことだと思うんですが、出店を考える人も出店場所を考えるわけで。
    そんな関係の中でズルズルべったんで進めても、単に空き店舗を一時的に穴埋めしているだけにしか見ないと、商店街全体も白けてしまいますよね。

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