「とかいなか」の原風景

2008.10.05 Edu Farm 0 Comment boff 256 views

10/4(土)、まだまだ汗ばむ陽気のお天気。
今日は、大阪府高槻市の「高槻とかいなか教育ファーム推進協議会(以下、「高槻とかいなか」)」さんによる「高槻わくわくファーム」の稲刈り&サツマイモ掘りにおじゃましました。
ここ高槻市は、大阪と京都の真ん中ほどにあって、大阪のベットタウンです。
文字通り「都会」と「田舎」を合わせたような土地柄であり、「高槻とかいなか」の活動フィールドである原地区は駅前からバスで15分ほどのところなのに、昔ながらの田園風景がいまも残っています。
「高槻とかいなか」の事務局であるNPO法人 アダージョの代表で、「わくわく探検隊」のほっと隊長こと杉本さんの話では、今回「高槻とかいなか」として教育ファームに取り組んだコンセプトには、「原地区の田園風景を保存したい」という思いもあるそうです。
というのも、「新名神高速道路」建設にともなって、原地区を北方向に抜けたあたりに高槻ICが設置される計画があり†1、市街地からこの原地区を貫いてICへと幹線道路が整備される可能性があります。
原地区の景観と環境を守ろうとする地域の活動に杉本さんも参画していく中で、原地区の生産者の方たちとの接点が生まれ、そうして「わくわく探検隊」が実現するようになったとのこと。
子どもたちの農業体験だけかと思いきや、地域の景観と環境の保全というより大きな目的も教育ファームに重ね合わされていることを知りました。
 

われら「わくわく探検隊」!

 

本日の「わくわく探検隊」(高槻わくわくファーム)の参加者は、高槻市内の小学校から一般公募で集まった小学3~6年生約40名。
6/1に田植え、7/19に草引き、8/23にそばの種まき、9/21にかかし作りなど、ほぼ同じメンバーで年間通して活動をしているため、違う学校の違う学年の子どもたちであっても回を重ねるごとに親交が深まっていきます†2
杉本さん曰く、「ただ仲が良くなる反面、些細ないざこざもあったりします」ということでしたが、人間関係にありがちな問題に直面することも、子どもたちにとってはいい経験になりますよね?
小さな隊員たち40名が集まったところで、協力していただいている生産者の畑中さんから次のようなごあいさつ。

 

こんなに大きく育ったよ!

 

ちょっと田んぼをよく見てください。何か違うなと思いませんか?6月に田植えをしたとき、半分は手で植えて、もう半分は機械で植えました。同じ品種でも植え方が変われば、稲の育ち方も少し違うので色が違うでしょ?
でも、暑い中、みんなで草引きをしてくれたから、こんなに大きく育ちました。
今日収穫したお米で、またみんなで美味しいおにぎりを食べましょう!

 

確かによく見ると緑のコントラストが見えます。
教えてもらわないと気づかないほどの違い、子どもたちは気づいたろうか?
子どもたちは複数のチームに分かれて活動します。
ボランティアのスタッフの人たちがそれぞれのチームを束ねながら、チーム内の子どもたちにもそれぞれ役割があるようです。
まずは稲刈り。
稲刈り、束ねくくり、稲木掛けの過程に分かれて、チーム単位にローテーションしながら全員が全過程を体験します。
生産者の方に刈り方を教えてもらって、子どもたちも恐る恐る稲刈りを始めました。
刈り取りチームは徐々にコツをつかんだようで、稲を束ねてくくる方が追いつかなくなるほど。
そのためかなかなか稲をくくるのはうまくいかず、稲木に掛けようと稲を二つに分けた瞬間、バラバラと解け落ちてしましたり、稲が上下逆さまでまったくそろってない状態でくくってあったり。
そのたびに生産者の方にくくり直してもらって、何とか稲木一杯に稲を掛けることができました。

 

 

細かいことですが、稲木の高さは、子どもたちの背丈に合わせて少し低めに準備していただいたようです。
こういう生産者の方たちの細やかな心遣いが、うれしいですね。
稲刈りを見ていて思ったのは、男の子たちは途中から田んぼから出てきた虫に夢中になって稲刈りもそっちのけ。
一方、女の子たちは率先して力仕事に精を出していました。
確か、「男」って漢字は「田+力」でしたよね?
もうとっくにそんな時代じゃなくなってしまったのかも。
1/5ほど手刈りしたところで残りの稲はコンバインで刈り取りです。
しばしその様子を見学したのち、機械刈りは生産者の方たちにお願いして、子どもたちはサツマイモ畑に移動、畑近くの田んぼで弁当を広げてお昼を食べました。
午後からの畑作業も、サツマイモを掘る、サツマイモの蔓をむく、雑草を取る、大根の間引きをする、畑を耕すというように、いくつかの過程に分かれてチームごとに作業をしました。

まずは畑一面をびっしり覆った葉と蔓をみんなでわらわらと取り除き、サツマイモ堀りスタートです。
地面に顔を出した蔓を目安に、サツマイモを傷つけないようにスコップで慎重に掘り進みます。
途中からは手でサツマイモのまわりを掘ってみたり、サツマイモをグラグラゆすってみたり、いったい地面の下でサツマイモがどんな姿で埋まっているのか、子どもたちは想像力と期待を膨らませながらサツマイモ掘りを楽しんでいました。

また、同じ畑ではナスやゴーヤの収穫とともに、鍬で畑を耕す作業も行われていました。
慣れない腰つきで重たい鍬を振り上げて、「畑仕事も大変やなぁ~」とつぶやく子どもの顔には汗が光っています。
今やっていることが、「遊び」ではなく「仕事」であるという認識は、とても大事なことだと思いました。

サツマイモの収穫と畑の管理作業が終わり、次は焼き芋とサツマイモの蔓を調理して食べることに。
焼き芋とサツマイモの蔓の料理ができる間、子どもたちは田んぼでドッジボールに興じます。
サツマイモの蔓の料理のレシピは「摂津峡・芥川わくわく探検隊ブログ」で紹介されていますのでそちらをご覧いただくとして、食べてみた感想はほんのり醤油味のシャキシャキした歯ごたえでなかなか美味でした。
新食感のサツマイモの蔓に、子どもたちも「これハマるわぁ~」と大好評でした。

 

少し前まで普通にあった光景ですよね

 

さて、稲刈りに始まって、午後からのサツマイモ掘り、ドッジボール、おやつに焼き芋とサツマイモの蔓料理と、朝から夕方まで充実した1日が終わりました。
夕暮れにドッジボールをしている子どもたちを見ていると、近くの田んぼで日が暮れるまで遊んだ自分たちの姿とそのときに嗅いだ田んぼの独特の匂いがよみがえってきて、どこか懐かしい感覚に包まれました。
ここからは蛇足です。
まず「わくわく探検隊」のおもしろいところは、チーム制にあると思いました。
大きな集団を小集団に分けて運営することは、いろんな意味で理に適っていると思います。
例えば教育ファームねっとの方でも紹介されているように、辛い草引き作業もチーム同士で競争させることで、まるでゲームのような感覚で楽しみながら取り組める工夫がありました。
また、年間通して同じチームのメンバーとして活動するわけですから、自然と結束力も出てくるはずです。

そして、そのチームをまとめる心優しきボランティアスタッフの方たちが、重要な役割を果たしていることにも触れておかねばなりません。
この日の取り組みの最中も子どもたちが口々に「モアイくんはまだ来ないの?!」と訴えていました。
「いったいモアイくんって誰?」と思っていたら、午後から、高校の行事を終えたモアイくんが駆けつけてきました。
もちろん「モアイ」というのはその風貌からついたあだ名で、子どもたちの人気者。
素朴で味のあるキャラクターが魅力のモアイくんはボランティアスタッフのひとりで、杉本さんの話によると、アダージョの取り組みの卒業生であり、そのままボランティアスタッフとして協力しているということでした。
都会と田舎が同居する高槻市の原地区で、世代間の交流を通して子どもたちも大人たちもともに成長し、さらに子どもたちにとって大切な思い出の原風景になっていけば・・・。
「高槻とかいなか」のそんな目的にも、教育ファームという取り組みがうまくフィットしているのかもしれません。

Notes

  1. 現在のところ京滋バイパスとの重複区間になるとの理由で「抜本見直し区間」とされているようですが。
  2. 「わくわく探検隊」の一連の活動は「摂津峡・芥川わくわく探検隊ブログ」をご覧ください。

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