作物が生きた教材

2008.06.24 Edu Farm 0 Comment boff 24 views
こういうのに歴史を感じる

6/17(火)、天気は晴れ。
和歌山県紀の川市にある名手小学校の取り組みにおじゃましました。
紀の川市における農業と教育との連携の歴史は古く、今回協力していただいている紀の川市環境保全型農業グループさんと名手小学校とで学童農園がスタートしたのは10年以上前の1997年。
その後、栽培品目も増やしながら対象学年も拡大、また同じ地域で活動されている生活研究グループさんや食生活改善推進委員の方たちと協力のネットワークを深めつつ、現在まで活動を続けられています。
その意味では、教育ファームというコンセプトがある前からの取り組みですから、ほんとに偉大な存在です。
 

実際に、児童たちが田植えをしているのを見学するのはこれで2度目。
前回おじゃました高知県の介良小学校では、「試合開始」早々、児童たちは四方八方に広がって、自由に泥と戯れていました。
で、今回は、等間隔に並び、「田植え綱」という昔ながらの道具を使いながらの田植えとなりました。

田植えは5年生が2グループに分かれて前半・後半で実施されました。

さて、田んぼはこのところのお天気と高い気温のためか水気が少なく、正直、少し臭いました。
子どもたちも、「臭い!」とか「ミミズがいてる!」とか「足がつった!!」とか「田んぼがしゃべった!?」など、ワーワー!キャーキャー!感嘆と奇声を発しながらのスタートでしたが、次第に泥の臭いや感触にも慣れ始め、黙々と田植えに汗を流していました。

 

黙々と田植えに集中です

 

田植えも終盤に差し掛かると、「臭い!」とか「気持ち悪い!」と騒いでいた児童も、その泥で遊ぶようになっていたことに感心しました。

 

このころには泥も臭いもへっちゃら!

 

一方、最初から最後まで一番田植えを満喫されていたのは、他でもない校長先生。
「ワシ、こんなん一番好きや!」とおっしゃって、児童たちに泥を塗るなどまるでいたずらっ子のようなはしゃぎっぷり。
先生や子どもたちも最後は、「もうほっといて田植えしよう」と呆れる始末でした。
ただ、これが意外に大事な要素だったりするような気がします。
まだ少ない事例の中での個人的意見ですが、こういう取り組みに先生や生産者といった中心となる大人が率先して楽しんでいると、子どもたちなど参加者(あるいは、傍観者も含めて)も知らず知らずの内に巻き込まれ、「開放的一体感」(「外延的一体感」という方が正確かもしれません)を感じることができるような気がしました。

そして2グループの田植えも無事に終わり、その後は体育館にて地域の生活研究グループの皆さんが準備してくださった、自家製梅干入りのおにぎりをいただくことに。
おにぎりをいただく前に、生活研究グループの代表の方が、「こびる(小昼)」と「米粒ひとつひとつの大切さ」について簡単にお話いただきました。
小さいころ田植えを手伝ったあとに畦道で食べた「こびる」(昼食と夕食の間、または朝食と昼食の間にとる軽い食事のこと)がとても楽しみで美味しかったという代表の方の話がとても印象的でしたが、これも実際に経験した人の口から伝えられるからこその説得力だと思いました。

みんなで「こびる」をいただいたあとに、生産者の方からいろいろとお話を聞く時間をいただきました。
これまで紀の川市環境保全型農業グループさんと名手小学校との取り組みの中で、スイートコーンと大根の栽培も行われており、スイートコーンと大根を栽培することに「意味」があることを説明していただきました。
例えば、大根は種をまいて2~3日もすれば双葉が芽を出すそうです。
この小さな双葉が重い土を押しのけて芽を出す姿に生命力を感じてほしいし、また収穫のときに大根を引き抜くと「ポンッ!」と音がなり、その音を「大根の声」だと説明されるそうです。
つまり、大根も生きているんだということを知ってもらいたいという意味が込められています(田植えのときに「田んぼがしゃべった!!」といった児童の言葉も偶然ではないように思われます)。

また、スイートコーンはとても生命力が強い植物で、激しい風雨などで幹が折れそうになると、折れないように自ら倒れ、また自力で立ち上がるそうです。
もし無理に人の手で起こそうとすると、倒れた側の根が傷ついてしまうため、無理に起こさずに自力で起き上がってくるのを待つのだとも。
すなわち、「人間も一緒だ。しんどくなったら倒れればいいし、無理をせずまた立ち上がる気になったら立ち上がればいい」ということをスイートコーンを通じて教えられるということでした。

そして何より生産者の方たちにとって喜ばしいことは、畑仕事などをしていると通学中の児童たちがあいさつをしてくれたり、「こんなところ(畑)で何しているの?」とか、農作業について「次は何をしたらいいですか?」など、日常的に自然なコミュニケーションが生まれていること。
これまでの活動が文字通り地域に根を張り実った成果なのかもしれないと思いました。
栽培のテクニックではなく、何でもって何を子どもたちに感じてもらえるか、それこそ「教育ファームだ」という確固とした信念は、経験と歴史がベースにあるからこそだと感じました。
他方で、「農作業を教えることには自信がついてきましたが、子どもたちの将来や農業の将来につながるのかどうかについては、いまだに自信がありません」というあくまでも謙虚な姿勢に、こちらが身の縮む思いでした。

P.S.

ご好意で、もぎたての若いスイートコーンをたくさんいただきました。
家にもって帰り、教えていただいた通り、軽く塩ゆでして食べてみることに。
実は、あまりとうもろこしは得意ではありませんでした・・・が、一口食べて・・・「美味し~い!」
ほのかに甘く芯までシャキッと、なんともいえない歯ざわり。
あっという間に甥っ子と一緒に食べてしまいました。
また、好き嫌いをひとつ克服しました。
ごちそうさまでした。

うれしそうな甥っ子です

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