「地域ブランドについて考える」シンポジウムを聴講してきました

2017.09.18 Selfish Study 0 Comment boff 0 view

 

9月16日(土)、熊本学園大学で開催された「地域ブランドについて考える」というシンポジウムを聴講してきました。
折しも、台風18号が南九州に接近中で若干の時間短縮はありましたが、予定通りに開催されました。

 

第1部は、陶山先生(関西大学商学部教授)による「地域ブランドの現状と課題」と題する基調講演でした。
実際に陶山先生が携わられた地域ブランド化プロジェクトについてのご紹介を交えながら、ブランドとは何か、都市とは何か、そして地域ブランドとは何か、について実践的なお話をされていました。

 

第2部は、「都市ブランド戦略の方向性を考える」をテーマとしたパネルディスカッションが行われました。
パネルディスカッションに先立って、パネラーも務められた北添さん(熊本市健康福祉局健康福祉政策課参事)から、熊本市のシティブランド戦略策定についての背景、取り組み、成果、今後の方向性などのご説明がありました。
パネルディスカッションでは、産品と地域ブランドの関係について、シティブランド化に向けて行政として努力したこと、街づくりと地域ブランド化の矛盾についてなどが議論され、非常に興味深い意見を聞くことができました。

 

シンポジウムを聴講しての雑感を垂れ流しておきます。

まず、地域ブランド化といわれる新しいマーケティング戦略と、これまでも行われてきたPR戦略との違いとは何かということについて、もう少し整理する必要があるのかなということ。
ブランドを通じてその対象を識別させるという意味においてはメディアとしての役割を果たしているのであって、つまりはPR戦略の延長線上にあるといってもとりあえずは差し支えないと思います。
しかしながら、ブランドがその実体を持たず、「ただブランドが存在することがそのブランドを説明する」根拠である場合があります(例えば「無印良品」など)。
PR戦略を超えてブランド化がもたらす価値創造は、おそらくまた別の次元なんだろうと直感的に感じるわけで、そのあたりをさらに掘り下げて考えてみたいと思った次第です。

 

また、ブランド化を行う場合、そのコントロールにデリケートな問題をはらむのではないかということ。
例えば、地域ブランド化の類でよく利用されるゆるキャラですが、熊本県のイメージキャラクターである「くまモン」はその商標利用を比較的緩くしたことでも有名になりました。
商標利用の審査基準等を緩くすることでキャラクターの露出機会が広がり、熊本をPRすることにも大きな役割を果たしたことはいうまでもありません。
しかしながら、くまモンの人気が高まるほどにそれ自体のキャラが立ち過ぎて、熊本という地域イメージから乖離する事態もあり得るのではないかと思いました。
全国的にゆるキャラが増えた結果、くまモンがゆるキャラという「ブランド」に埋没する、つまりゆるキャラを説明するためにくまモンがいるという逆転現象もあるでしょう。
陶山先生のお話の中でも、企業コンセプトと製品キャラクターがかみ合わないが、人気があるためキャラクターを取りやめることができず、矛盾を感じながらも存続せざるを得ないという悩ましいエピソードも、ブランドをコントロールすることの難しさを物語っているのだろうと思います。

昨今のインターネット環境の拡充により、SNSなどを通じて情報は直ちに拡散させることも可能ですが、逆に調整や回収の困難さも併せ持ちます。
それを逆手に取った「炎上商法」も確かにありますが、その分大きなリスクも生じるでしょう。
一方、ブランドにあえて語らせないことで消費者にブランドをハイジャックさせるという「手口」も念頭に置きながら、ブランドのハンドリングについてぼんやりと思考を巡らせつつ、ブランドってやっぱり難しいなぁと思うのでした。

 

改めてブランドについて考えるいい機会をいただきました。

 

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