新型コロナウィルス感染者数の予想値から想定を超えた事態?!

2020.03.31 Selfish Study 0 Comment boff 0 view

昨年末から世界で感染が拡大している新型コロナウィルス。
国内における今後の感染拡大状況について、「指数平滑法」と「残差平方和」を使って統計学的に予想してみました。
使う分析手法は「指数平滑法」と「残差平方和」です。

 

データ分析はExcelを使います。
指数平滑法は「分析ツール†1」、残差平方和は「関数(SUMXMY2)」です。
手順としては、指数平滑法で予想値を算出し、どの予想値の精度が高いかを残差平方和で判断します。

 

データの整理

まず、厚生労働省の最新のデータ(「新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況、国内の患者発生、海外の状況、その他)」厚生労働省)である2020年3月30日からさかのぼって、次のように1週間ごと10週に区切りました。

 

  • 1週(1/21~1/27)
  • 2週(1/28~2/3)
  • 3週(2/4~2/10)
  • 4週(2/11~2/17)
  • 5週(2/18~2/24)
  • 6週(2/25~3/2)
  • 7週(3/3~3/9)
  • 8週(3/10~3/16)
  • 9週(3/17~3/23)
  • 10週(3/24~3/30)

 

そして予想するのは「11週(3/31~4/6)の国内感染者数」ということにします。

 

Excelに入力し整理した実数値データは次のような感じです。

 

 

指数平滑法で予想値を算出

指数平滑法は、実績値から予想値がどれだけ外れているかを計算し、それに係数(減衰率)を乗じて得た修正値を、直前の予想値に加減して新たな予想値を導き出す手法です。
係数は1未満(0<係数<1)を設定しますが、1に近いほど直前のデータの影響が大きく、0に近いほど過去の経過を重視することになります。

 

Excelで指数平滑法は、データ→データ分析→分析ツール「指数平滑」を選びます。
ちなみに、Excelで指数平滑法を使うには、4つ以上のデータが必要です。

 

データ→データ分析→分析ツール「指数平滑」を選びます

 

入力範囲は準備したデータ(感染者数)範囲、減衰率は係数(1未満の小数)、出力先は各係数の「1週」のセルを選択します。
係数(減衰率)については、0.1~0.6までの予想値を算出し、残差平方和でどの予想値の精度が高いかを判断することにします。

 

コピペすると、各係数の11週における感染者数の予想値が表示

 

指数平滑法の係数0.1~0.6で算出した最後のデータ行(10週)をコピーして、そのすぐ下の行にペーストすると、各係数の11週における感染者数の予想値が表示されます。

 

残差平方和で予想値の精度を判断

指数平滑法の各係数で予想値が算出されましたが、どの予想値を採用するか判断する必要があります。
そこで残差平方和(SUMXMY2)を利用します。

残差平方和とは、実数値と予想値の差(距離)を2乗しその合計値を返す関数です。
つまり、実数値と予想値の差を面積として捉え、その面積が小さければ誤差が小さいと判断することができます。

 

残差平方和は、数式→関数の挿入→関数の検索で「残差平方和」か「SUMXMY2」で検索開始→「SUMXMY2」を選びます。

 

数式→関数の挿入→関数の検索で「残差平方和」か「SUMXMY2」で検索開始→「SUMXMY2」を選びます

 

関数の出力先を「C14」にします。
SUMXMY2を選択し、配列1は準備した2週~10週のデータ(感染者数)、配列2は指数平滑法で算出した予想値も同じく2週~10週を範囲選択します。
この際、配列1は絶対指定($B$3:$B$11)しておきましょう。

そして、C14セルをコピーし、となりの各係数のセル(D14~H14)にペーストすると計算結果が表示されます。

 

となりの各係数のセルにコピペすると計算結果が表示

 

各係数の残差平方和を見ると、係数(0.1)の値が最も小さいことから、11週の予想値は係数0.1で求めた「727」が最も精度が高いと判断されます。

 

感染者の予想値と想定を超える結論

指数平滑法を用いて11週(3月31日~4月6日)の感染者数を予想すると、727人と導き出すことができました。

 

 

ここで注目すべき点は、10週の値です。
実数値は777人、予想値は273人であり、データの乖離が明らかに大きくなっています。
つまり、統計的予想値をはるかに超えて、実際に感染者が増えているということを示しています。

 

安倍晋三内閣総理大臣は3月14日の記者会見で「現時点では爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえている」、3月28日には「ぎりぎり持ちこたえている状況」と発言しています。
確かに3月14日時点(8週)から9週までは感染者の実数値は大幅には増えおらず、予想値も近い値を示しています。
しかしながら、新型コロナウィルスは約2週間の潜伏期間があるとされており、3月14日の会見から2週間後である10週(3月24日~3月30日)には感染者数が一気に急増しました。
統計データから考えると、残念ながら3月14日の会見以降の政府による新型コロナウィルス対策は、瀬戸際を防げなかったのではないかと評価できそうです。
また、10週の予想をはるかに超える感染者の増加からしても、指数平滑法による11週の予想値は妥当性を欠いており、もしかしたら予想値を倍増するのではないかと危惧します。

 

引き続き11週(3月31日~4月6日)の感染者数の実数値がどうなるかを見れば、日本国内における感染拡大防止策は効果を発揮しているのか?ひとつの判断材料になるのではないでしょうか。

 

Notes

  1. 分析ツールの導入方法はこちらを参照

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